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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

NightRun

街がすっかり寝静まった頃、首都高速に回ってみる。

まばらになった車は、意志をどこかに置き忘れたように
緩慢に気まぐれに車線変更をしてみる位で、
適度に駆け抜けるには丁度良いパイロンに成り果てている。

久々に火を入れた愛機は、持て余し気味のトルクを生かして、
息の長い加速を続けている。

120マイルに届く頃、リミッターで加速を止められた車が前を塞ぐが、
それも避けられないほど溜まっているわけではなく、
ほんの少しスラロームすれば、心地よいGとなって反応が出るぐらいで
すぐさま誰も居ない夜道に戻れてしまう。

首都高横羽線は2車線しかなく、設計も古いためか道幅かなりタイトで、
通れるラインはかなりの精度を持ってトレースしないと、すぐ破綻する。

だが、この道を100マイル程度で流すのが、何故か好きだ。


エンジンの音、ギヤの音、タイヤの音、そして風の音・・・・

音や匂い、容赦なく襲う重力、そして突然訪れるヤバイ状況・・・

そんな時間が無いと、少しずつ感覚がナマクラになり、
その分、意味無く苛つくような焦燥感に苛まれ・・・・・

だから、ここでこんな走り方をしているんだな・・・と、1人苦笑い。


走らずにはいられない・・・

そんな自分に、かなり呆れてはいるが、
こうやって気ままに走る為に様々な用意が必要になってきたのは、
それだけ生きている経験が増えてしまったからだろう。

しかしその経験のおかげで、
穏やかな自分で居られる時間が長くなったようにも、思う。

大概の事に驚かなくなってしまったのはツマラナイし、
欲が弱くなったのも若さを捨ててしまったようで寂しく思うが、
反面、ほんのささやかな事で、幸せを大きく感じれるようになった。

休みもマトモに無く、睡眠時間も短くても、
例えば毎日のように話ができる人に会えていたり、
食事を一緒にできる友達がいたり、
酒を酌み交わせるヤツがいたり・・・・


自分は苦しむために生まれてきたのではないか・・・と考えていた子供の頃や、
自分の人生には失敗や挫折しか用意されていないのではないか・・と感じていた学生時代や、
自分のために何かを整えるとそっくり壊れる事ばかり続いていた頃に、
今の私が感じている穏やかな気持ちは、想像する事も難しかった。

だから、全てを置き去りにするように、ひたすらスピードを求めたのだろう。


勿論今だって、あの頃より早いスピードの中で、生きようとしている。
一瞬先に転がっている死を、見つめながら。

そして・・・

違う街に生まれ、違う風の中を歩き、
違う屋根の下で寝ているのに、
同じ空を見上げて、
同じ想いに駆られた誰かに出会い、
同じ言葉を使って語り合い、
同じ方向に向かって共に歩こうと、足掻く。


全力疾走の興奮が収まらないマシンをクールダウンさせながら、
見上げた空には煌めく星々の姿を隠す雲。

今宵は死ぬほど酒を飲んでるヤツが多いんだろうな・・と、
どうでも良い事を考えながら、家のドアを開けると・・・・
何故か凄く小さいトカゲが玄関で笑っていた。

 
 
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