「ちょっと早いけど昼飯食わない?
ちょうど中華街に来てるんだけど」
「お〜いいぜ、こっちも次が13時半だから、
早めの昼にしようかと思ってた」
「いつもは店を紹介してもらってるけど、
今日は行ってみたい店があるんだ」
「へぇ・・・どこ?」
「麻婆豆腐の店」
「麻婆豆腐・・・」
「だめ?」
「辛いの好きだねぇ・・・」
「専門ってわけじゃないけど、本場のシェフが入ってるって
気にならない?」
「麻婆豆腐でしょ?」
「たかが・・・?
されど・・・でしょ?」
「汗かきそうだなぁ・・」
「辣」
045-663-9163
横浜市中区山下町217
11:00〜15:00 17:00〜21:00(LO20:00)
木曜定休
ウィンドジャマーのすぐ傍にその店はあった。
小洒落た店は金属調の内装で、中華料理を食べる店にはちょっと見えない。
が、出す物は間違いなく中華料理。
それもメインは麻婆豆腐なわけで・・・・・(^_^;)
「カウンターかテーブル席がございますが?」
「テーブル席ってあるの?」
「2階にございます。」
「じゃ、2階に」
2階に上がると、やっぱり小洒落た感じの客室があり、
丸テーブル(6人掛け)1つ、テーブル2つ(2人掛け)に、
カウンターが窓に向かって設置されている。
が、間違いなく若者向けバーのような感じがしてしまうのは、
厨房から上がってくる料理を受け取るセクションがネオン管で飾られていて、
(実際ビールなどをサーブするのでバーに見える)
中華料理を食べるイメージとはかけ離れているからだろう。
昼のセットは麻婆豆腐のみ。
ロングライスか麺、炒飯のいずれかを主食に
麻婆豆腐を食べるセットとなっている。
「じゃ、ご飯(ロングライス)のセットに生ビールと餃子を」
「私もご飯にする」
陣取ったのはカウンター席。
と言うのは、テーブル席にいた先客が煙草を吸っていたためで、
(テーブルとテーブルの間が結構狭いので)
丸テーブルに2人で座るのも気がひけたからなのだが、
この席は外がよく見えて、結果的には成功だった。
(ちなみに1階のカウンターは駅蕎麦の雰囲気すら漂う狭さなので、
空いているなら2階がオススメ。)
キュウリとバイ貝の和え物が前菜として出され、
意外に上品な味付けに少しだけ期待を膨らませつつビールを飲んでいると、
四角い白い器にこれでもか・・と花椒(中国山椒)をふりかけた麻婆豆腐が出てきた。
ご飯は・・・・見事な香りとツヤがあるロングライス。
これは・・・美味いかも?
とご飯だけ食べてみると、まさに香港で良く口にする香り高きロングライス。
でもって、かなり美味しいご飯なのだ。
よし!
とばかりに麻婆豆腐を食べてみると・・・・
塩辛い・・・(・_・、)
「ご飯、美味しいねぇ・・・
でも、麻婆豆腐は辛いねぇ・・・」
「ご飯にかけて食べるから、塩辛くしてるのかしら」
「炒飯とかのセットだったら、もっと塩辛く感じちゃうかもねぇ」
「・・・重慶飯店の麻婆豆腐の方が好きかも」
唐辛子の辛さと塩の辛さは微妙なバランスが難しい物。
調理技術や素材の良さが感じられても、塩がキツければトータルではダメだと思う。
そういう意味で、新しい中華料理店の形を提案している部分は良いと思うけど、
料理として評価は高くする事はできそうにない。
「また来たいって思う?」
「う・・・・ん」
「俺は、もう一回は来るよ。」
「そう?」
「夜だときっと違う料理も、もっと有るし、
このご飯だけでも食べたいって思うから・・・」
「ご飯は美味しいよねぇ・・・」
「ランチセットで店を判断するのは難しいじゃん。
これでご飯がダメだったら来る気しないけど、
次に頼む時は塩抑えてってオーダーしてみたいし」
「そうねぇ・・」
「あのさ、誘っておいて、その反応はどうなのよ?」
「興味はあったのよ。
でも・・・」
彼女は辛い物フリーク。
でも、塩辛い物は全然ダメな人。
口が痛くなるようなタイカレーを汗もかかずに食べきるし、
食べたら30分はトリップするようなインドカレー(ネイティブ用)もにこやかに食べてしまう。
中華街では担々麺や麻婆豆腐を所望するし、ラー油や花椒の追加も当たり前でいながら、
澄まし汁の塩味がちょっとでも強いと辛くて飲めない・・と怒ったりする。
(一緒に和食に行く時は、京風の味付けじゃないと(-.-;)y-゚゚゚)
最近思うのは、味付けの平板化。
塩を強くして科学調味料効かせて、素材の味などわからなくて平気で・・・
酷い言い方をすればレトルト物や冷食と大差ない味が、何処へ行っても待っていたりする。
そういう物だとわかっていて入れば腹も立たないけど、ちょっとだけ期待するような店で
そんな味に出会う度、食文化の廃れ方や食材の変化に悲しさを感じてしまうのだ。
だから、この店の味付けがあまり加わらないご飯が、美味しく感じたのかも知れない。
(上質の米をちゃんと蒸して出してくれたから、香りも味も豊だった)
正直に言おう。
ここのご飯だけはもう一回食べたい、と思っている(/--)/
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