「晩ご飯食べた?」
「・・なわけないっしょ。」
「仕事」
「もちろん」
「ちょっと抜けて、一緒に晩ご飯しない?」
「いいよん。
で、どこ?」
「元町」
「もしもし〜?
今、ウチの会社は元町じゃないんですけど??
って言うか、こんな時間に元町って開いてないでしょ?」
「待ってまーす」
毎度、強引なお誘いにも、空きっ腹な自分は抗う事もできず、
仕事そっちのけで元町まで走る。
涼しい夜風が気持ち良いが、台風接近のせいか高めの湿度が
今一歩爽やかさを演じきれないでいる。
「お待たせ」
「遅い」
「関内からなので・・ねぇ」
「まぁ、いいや。
行こ!」
9時過ぎの元町は、案の定人気が無い。
見事な位に、店は閉まっていて、
ユニオンが細々と営業しているのが見える位・・・(^_^;)
「で、どこ行くわけ?」
「きむかつ」
「きむたく?」
「違うの、キムカツって店があって、
週末すっごく混んでて、気になっていたから・・・」
「こんな時間、やってるの?」
「ラストオーダー22時」
「・・・そすか」
「キムカツ横浜元町店」
045−212−1129
横浜市中区元町3−124
11:00〜22:30
無休
確かに、開いていた。
人気の無い元町メインストリートに・・・
ひっそりと・・・という感じすらする入口は、
長い暖簾でお洒落に飾られている。
店は2階で、ちょっと見ると飲み屋にも見える小洒落た雰囲気だが、
客席数はそんなに多くは見えない。(33席)
さすがにこんな時間では満員になるわけもなく、
客もまばらだったが、何故か入口で待たされた。
「ここが並ぶほど混んでた?」
「うん、階段もびっしり・・と」
「人気あるんだ。」
「そうみたい」
通された席は60センチ四方くらいのテーブル、二人がけ。
料理を二人で食べるにはちょっと狭い感じがする。
メニューを見ると、キムカツというカツのバリエーションと厚切りカツ、
そして盛り合わせがあり、炊きたてご飯セットがあって・・・・
それだけかい(^_^;)
この店はカツしかない、専門店らしい。
カツとご飯のみのメニューは、潔すぎる(爆)
飲み物はテーブルに置いてある小さなメニューにしかないようで、
ビールはアサヒの生と黒生小瓶のみ。
後はサワーがちょっとと日本酒とワインがあるが、バリエーションは全然ダメ。
飲み屋っぽい雰囲気なのに酒のバリエーションが無いので、
ますますガチンコのカツ屋だ・・という事がわかってきた(^_^;)
オーダーしたのは3品盛り合わせ。(プレーン・ネギ・生姜味噌)
厚切りという普通のカツもあるようだが、ここのオリジナルを食べないわけにはいかない。
で、ご飯セットをオーダーして待っていると、
例によって客がどんどん入ってくる事態に陥った。
(私の場合、招き猫状態になる事が妙に多い)
ビールが出て、山盛りの千切りキャベツがドンと出て、
混ぜてもすぐ分離してしまうドレッシングやソースで食べているのだが、
なかなかカツは出て来ない。
ご飯が炊きあがるタイミングでカツを出す事を謳っているので、
その時間調整かもしれないが、結局二人で皿山盛りのキャベツを食べきってしまう事になった。
「しかし君は、客を呼ぶよねぇ」
「何だかねぇ」
「こんな時間にこんなに客が入るなんて・・・」
「人気なんでしょ?」
「らしいけど」
「仕事どう?」
「どうもこうもないわよ」
お互いに仕事上の愚痴を少し投げ合っていた時、
「キムカツ」がやってきた。
見た目は普通のカツなのだが、薄い肉を重ね合わせて低温でじっくりあげるソレは、
ジューシーでしかも柔らかい食感が特徴と言える。
しかし・・・・
これはカツとは別の食べ物に思えてしまう。
強いて言うなら、メンチカツに近い(^_^;)
オススメの食べ方はポン酢であっさり・・・とあるが、
やっぱりカツはソースかけてカラシ付けて食べたい・・と思ってしまうのだ。
「ごはん美味しい」
「そうだね」
「外で食べるご飯では、久々に美味しいご飯だと思う」
「俺にはちょっと柔らかい感じ。
もうちょっと表面が固いといいなぁ」
「私は、柔らかめのふっくらしたご飯が好きなの」
「そうですか」
コシヒカリと言われるご飯は、確かに美味しい。
と言うか、このご飯があるから、この店に来たい・・
という人が居てもおかしくない(^_^)
でも、私にとっては、尚更、ガッチリしたカツにソース&カラシで
食べたくなってしまう。
美味しい豚肉だからそう思うのか、美味しいご飯だからそう思うのか、
今までカツを食べてできた概念がそう思わせるのか・・・(^_^;)
「俺、厚切り食べた方がよかったかも。」
「そう?」
「で、カラシが欲しいかも」
「ワガママ」
「じゃ、さ・・、また来たい?」
「このご飯があれば」
「これで、サイドメニューがあったらなぁ」
「カラシは言えば出してくれると思うよ?
今度来た時は厚切りセットにすれば、前菜もつくし」
聞けばこの店、凄い人気らしい。
でも、私としては、並んでまで食べたい物じゃない。
固い物を食べたくない世代が、柔らかい食感のカツを求めるのか、
独特の味わいにはまった人が多いのかわからないけど、
新しいカツのスタイルとして慣れるように努力しないと、好きになれないかも知れない。
ただ・・・・
確かにご飯が美味しいんだよねぇ(/--)/
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