「仕事をしている中で、楽しいと思う時は何時ですか?」
「発電機がすごい勢いで回るのを見る時・・・かな」
若き保安課スタッフに話を聞いてみたら、そんな答えが返ってきた。
水力発電所に取材に行った私は、知識は有っても現物を見た事がなかったので、
その答えにちょっとだけ戸惑った。
が・・・
百聞は一見にしかず、と言うように、
現物を見て、その意味がわかった。
神奈川県企業庁が持つ、日本で最初に作られた揚水発電所の「城山発電所」は、
地下230メートルに発電機を置くちょっと変わった発電所だ。
夜間電力を使って、発電に使う水車を回して山の上に作った人造湖に水を汲み上げ、
昼間、電力需要が多くなった時にその水を使って発電する・・という変わったスタイル。
普通はダムなどで落差を確保して、上流から下流にむけて流れる水力により発電するのが、
この方式だと高い場所にプールを作り、その水を低い場所に流す時発生する水力で発電するため、
必要な時にだけ回す事が可能になるわけだ。
(水を汲み上げない限りプールの水は増えない)
電気は貯めておく事ができないから、水を高い位置に持っていって貯めておくわけで、
大がかりな蓄電池?と考えれば、そのシステムが理解できるかも知れない。
4基の発電機は最大出力で25万キロワットを誇るが、一基の水車だけも200トンを超える重さがあって、
もの凄い水圧で回される事が容易に想像できた。
「ちょうどこれから回すところですのでご覧になりますか?」という申し出を有り難く受け、
カメラを持ってタービンと発電機を繋ぐシャフトが見える部屋に入る。
大きな警告音とアナウンスが流れた後、直径2.7mの分岐管の弁が開けられると、
もの凄い音が発生した。
シャーとゴーが混じった大音響の中、タービンに水が入る弁が続いて開く。
すると、その轟音の中ブルブル・・・といった腹に響く回転音とともに、
太いシャフトが回り出した。
大排気量車のエンジンが持つ迫力を、数百倍大きくしたような感じ・・と言っても、
この迫力は伝わらないだろう・・・・・。
確かに、このタービンが回るのって、気持ちいいかも知れない・・・(^_^;)
そんな事を感じているウチにシャフトは回転数を上げ、
それに従って轟音は静かになっていった。
しかし、何かもの凄い質量の物が回転している迫力は、
しっかりと力強く身体の芯を揺さぶり続けている。
これが気持ちいい・・・か?
と思いながら、ふっと気が付いた。
バイクでも車でも、
好きな部分の中に、回転によって吐き出される力がある。
高回転で回っている時の音や、太いトルクにのって走る感覚や、
圧倒的な力強さに酔う楽しみは格別。
その気持ちよさに通じるモノがあるな・・・と(^_^)
もしかして・・・と廻りを見てみると、
案内役をしてくれた担当者達も、タービンが回っている姿を見てニコニコしている。
人間は、自分より大きな力を目の当たりにしたり、
それをコントロールする事には快感を得るのかも知れない・・・・ね(^_^)
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