サイト内検索
AND OR
Photo Essay
Text Essay
Desktop Gallery
Guestbook
Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

蕎麦

実は、不味い蕎麦は解るけど、美味い蕎麦の味が明確にわかっていない。

太っとい田舎蕎麦(挽きぐるみの粉を使った黒っぽいやつ)も好きなら、
更級(蕎麦の実の中の部分しか使わない一番粉を使った白いやつ)も好きだ。

街の蕎麦屋が出す小麦粉が入ったリーズナブルな蕎麦でも、
ちゃんと香りが立って歯ごたえがあれば文句無いし、
様々な混ぜ物をした変わり蕎麦もまた、好きだったりする。


週末、八ヶ岳から友達が来たが、
久々にちょっとだけあって話をした時、そんな話になった。


「最近さぁ、家の廻り30分圏内に、脱サラで蕎麦屋を始めたような店が
  なんと30軒もあるんだよ」

「そんなに?
  で、美味いのか?」

「それなりにみんな美味いんだけどさ・・・
  なんて言うか、問題がある店も多い」

「へぇ・・・どんな?」

「バランスが取れてないんだ。
  例えば、美味い蕎麦だからお代わりを頼んで、
  それを待つ間に酒を頼んだ事があるんだけどさ・・・」

「ありがち」

「出てきた酒を一口飲んだら・・・『なんじゃこりゃ?』状態で」

「はぁ・・・」

「後で銘柄を聞いたら、地元では飲んじゃいけない3大ブランドの一つだったのさ」

「蕎麦屋って酒を飲む所なのにねぇ」

「それは端的な例なんだけど、どっかにそういうエラーがあるのさ」

「でさ。
  30軒もあって潰れないわけ?」

「潰れないんだよ。
  って事は、それなりに客が入ってるんだろうけど」


蕎麦は、気取って食べたくない。

最初にビールを頼んで、「板わさ」や「冷や奴」ちょっと贅沢に何かの焼き物とかを
オーダーしてゆっくり楽しんだ後、冷や酒を一本頼んでそれを飲んでいるうちに、
「もり」とか「ざる」が届くのが理想的だ。

ちょっと飲んでいる酒を蕎麦に振りかけて、
汁をあまり付けずにズルズルズルっとすすり上げると、
酒の甘さと蕎麦の香りが絡んで、最後につけ汁の辛さがアクセントを加える。

でもって、もう一本酒をオーダーしちゃったりする贅沢が、
実に安上がりでにできるのが、蕎麦屋の良いところだと思うのだ。

ちなみに私がよく行く蕎麦屋は、久保田の千寿も八海山も1合500円の良心的な店。
それでいて電動とはいえ石臼でそば粉を挽いている拘りの店もあったりするが・・・

こいつが下手な小洒落た蕎麦屋より、美味しいと思うのだ。


でも・・・・
これだけ毎週のように蕎麦を食ってるのに・・・

これが美味い蕎麦だ・・という明確な物が無いのが不思議なのだ。


「蕎麦ってさ、不味いは解っても美味いは無いんだよ」

「そうなのかなぁ」

「美味しい蕎麦はすぐ好みで判断されるのさ」

「へ?」

「更級が好きとか、生粉打ちが好きとか言えるって事は、
  美味しく食べられる蕎麦っていうゲートを超えてるから言えるのさ」

「なるほど」

「だからさ、
  どこそこの蕎麦が美味いって言葉は信じちゃいけないのさ」

「へ?」

「美味いと言う人にとって美味しい蕎麦は出るけど、
  趣味の違う人にとっては普通の不味くない蕎麦でしかないのさ」


でも・・・
30軒の蕎麦屋があったら当分楽しめそうだと思うあたり、
私も相当の蕎麦好きである事は、間違いない(/--)/

 
 
サイト内の画像・テキスト等の無断利用・転載は禁じます。
Hisashi Wakao, a member of KENTAUROS all rights reserved. / Web design Shigeyuki Nakama
某若夢話は横浜飛天双○能を応援しています。