ラオスの料理について、取材した。
今回は作り手にしっかりと聞きながら、
タイ料理との違いを確認していく。
タイ料理と同じ・・と作り手は言うが、
食べてみると全然味が違う。
砂糖を一切使わず、ココナッツも殆ど使わず、
「バデイ」と言う魚を漬け込んで作る調味料(ナンプラーとは違う)と
餅米を煎って作る粉末調味料やラオスで仕入れた唐辛子などで、
味付けされた料理は、シンプルな塩味な中にフレッシュなスパイスが
遊ぶ楽しい味わいだったりする。
「説明するより食べてもらった方が解りやすいね」
と言いながら料理してくれるのはオーナーのビルンさん。
ラオスから難民として日本に来た彼女は、家族の面倒をみるだけでなく
同胞のために通訳の仕事などを行いながらレストランも経営してきた。
「バン・マイラン」
046ー234ー9062
海老名市東柏ヶ谷5-13-25
「今日は典型的な料理と家庭料理をつくりますね」
「日本料理と違う部分はどこでしょう?」
「ラオスには海が無いので、肉と野菜の料理が多いですね。
魚は淡水魚の料理になります。」
「淡水魚?」
「ナマズ・・・とか。
食べます?」
「もちろん」
「ポニパドゥック」
ニンニクと唐辛子を焼き、ナマズとナスを合わせて壺で潰し、
バデイで味付けしたスープを足し、最後にパクチーを刻んでのせる。
「カウニャウ」
タイ米の餅米を蒸した物。
主食
「バデイやナマズが生臭いかと思ったんですけど、
塩辛い感じと唐辛子の辛さにパクチーの爽やかな香りが合ってますね」
「この料理は、いわゆる『おふくろの味』です。
多分タイのイサン料理を出す店でもやってないと思います。」
「この餅米は、いくらでも食べられますね。」
餅米を手で掴んで食べるのは前回紹介したが、
汁物にも手づかみで・・・となるとなかなか難しい(^_^;)
しかし、手で食べる事って、なんと気持ちの良いのだろう・・・
「ゴイパー」
典型的な料理として火を通した肉を使った和え物「ラープ」があるが、
生の肉を使ったバージョンを「ゴイパー」(ゴイ=生)と言うらしい。
この日はスズキ(刺身用)を使って作ってくれた。
パクチープラン・バイマックルー・白生姜・万能ネギ・小玉葱(赤)
パクチータイ・唐辛子(乾燥させ潰した物)・スズキ
・餅米(茶色くなるまでから煎りし潰した物)
以上をボールで混ぜバデイ、ナンプラーで味付けしライムを搾って和える。
「オッガイ」
鶏肉と軟骨、生姜をフライパンで炒め、
スパイスと塩・ナンプラー・バデイを合わせた汁物。
「ウアカラムピー」
ラオス風ロールキャベツ。
鳥の挽肉(餅米を潰した物をつなぎにしている)とキクラゲ、
春雨をキャベツで巻き、蒸した物。
本来は花でくるんで作る物。
「唐辛子の辛さって平気なんですか?」
「ラオス人でも唐辛子ダメな人はいますよ。
今日は控えめに作ってます。」
「え・・・と、充分に辛いんですけど。
私は辛いの好きなので、食べられますが・・・汗は出ますねぇ」
「実は私も辛いのは苦手なんです。」
「え?」
「辛いのが好きな人の家に行ってご馳走になると、
辛すぎてお腹壊しちゃったりします」
笑った・・・・
というか、ホッとした(^_^;)
東南アジアの唐辛子でお腹を壊す私にとって、絶対お腹の構造が違う・・・
とさえ思っていたから、彼女のコメントは精神的な距離を埋めてくれた。
生活習慣や常識の違い、考え方の違いはあっても、
お互いが相手を尊重しながら付き合えば、楽しい社会が築けるはず。
食べ物一つでも色々な話ができる事は楽しくて、
それがまた、味わいを豊にする調味料になる。
気がつけば、外国籍住民が増えている神奈川。
2003年のデータでは159カ国14900人以上の人達が在住しているが、
取材は、そんな人達の文化を知り、隣同士が仲良く暮らそうよ・・・という
テーマで進めてきた。
今まで取材を通して感じてきたのは、
日本社会が持つ閉鎖性の強さ。
絶対数の問題と、社会を動かしている世代の力が、
それをさらに強めていたようにも感じているが、
どうやら最近はそうでもないらしい。
社会の中での働き盛りと言われる年齢の人達が少なくなり、
労働力の一部を外国人に頼る会社も増えてきて、
多国籍国家への道を日本も歩き出したようにも見える。
開国しながらも鎖国根性が抜けていなかった日本にとっても、
そろそろグローバルな感覚を持って生きろよ・・・という時期が
来たのかも知れない。
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