小田原に取材に行って、出会ったのが蒲鉾&おでん種。
その蒲鉾業者「丸う田代」の社長と話をしてみた。
面白かったのは、蒲鉾の見分け方。
小田原の蒲鉾は、混ぜ物をしないで手盛りで作るため、
固くプリプリとしていて切り口が光り、板より外にはみ出すような形になる・・とか。
板の上からはみ出さないような形をしている蒲鉾は、
水等で薄めたすり身を型に流しその上に板を置いて作った物の典型的な形で、
当然の如く安価になるわけだ。
「じゃ、小田原のすっごい高い蒲鉾って、どこが違うんですか?」
「それは、魚の質の違いです。」
「魚の種類は一緒で?」
「えぇ。
うちはグチを使ってるけど、同じ魚でも高いのと安いのがあるでしょ?」
「なるほど。」
「練り物は練る時に熱くなっちゃうとダメだから、ウチは石臼を使っているけど、
これからの時期は魚も脂がのって美味しくなるし、加工にも適しているから
どの蒲鉾も美味しくなるんですよ。」
混ぜ物をしないで作る蒲鉾は当然の如く魚の質で味が変わるから、
使う魚に旬があれば、加工品にも旬があって当たり前。
そんな当然な事に気付かないのは、一年中同じような味になっている
安価な蒲鉾しか食べていないからなのかも知れない。
よく行く蕎麦屋では板わさが500円
(量からみて半本分くらいの量だから、仕入れが一本500円かも)
当然その蒲鉾ってごく普通のクラスだから、社長に指摘された通りのスッキリとした形で
味も一年中同じ味のように思える。
「社長、一本5000円とかの蒲鉾って本当に美味しいんですか?
魚の質が良ければ美味しいのはわかりますけど、
それにしてもそれだけのコスト差に応じた変化ってあるのか
わからないんですけど。」
「そのクラスはご進物にお使いいただく事が多いですね。
うちでは超特選で2000円クラスですが、上が840円で十分においしいですけど。」
そう言われて出された蒲鉾は、安い蒲鉾に慣れている私にとっては
一口で別物・・とわかる美味しさを持っていた。
「このコストでも、お蕎麦屋さんにはなかなか使ってもらえないんですよ。
でも、手作業でしかできない部分があってできる蒲鉾ですから、
なかなか価格を下げる事もできなくてねぇ」
「丸う」では、この時期だけイサキで作った蒲鉾を出している。
社長の話を聞いた後だからつい購入してしまったが、
蒲鉾は板わさでしか食べないわけで・・・・
蕎麦屋持ち込むわけにもいかないしねぇ・・・(^_^;)
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