箱根の湯本にある、蕎麦屋
「はつ花」(新館)
0460-5-5555
足柄下郡箱根町湯本474
取材の合間に久々に訪れてみた。
自然薯と卵だけでつないだ蕎麦は喉ごしが柔らかいと有名で、
週末は行列ができる人気店だが、ウィークデイの午前中なら問題はない。
数年前に来たきりで、自分の味の記憶を確かめたかったって事もあったが、
蕎麦の味ほどいい加減な記憶しかできない物はなく、食べ比べれば優劣はわかっても
単体で食べた時、今まで食べた蕎麦の中で何番目に相当するか・・なんて、
いつもわからなかったりするのだ。
で、ざる(750円)を食べてみる。
(本当はもりがいいんだけどね)
窓の外には川が流れていて、風情のある店内とともに、ちょっとした
旅行気分を味わいつつすする蕎麦はまた格別・・・
おっ・・・
驚いた。
川に泳ぐ魚を狙う、カワセミがいる。
コバルトブルーの小さな身体が、強い日差しに艶やかに輝いた。
蕎麦汁にちょっとつけてズルズル・・とすすってみる。
え?
あれ??
こんなに素っ気なかったっけ??
「はつ花」の蕎麦は、一番粉を多く使用している事が一口でわかったが、
あまりに穏やかで物足りない。
これじゃ、自宅近くの「桜庵」の方が美味いかもしれない・・ぞ?
これじゃ、元町の「まつむら」には遠く及ばないぞ??
この発見が、面白い。
美味しいと思いこんでいた物は、自分の舌が変わる事で姿を変え、
月日がそれを加速して、新しい出会いを与えてくれる。
ずぅっと好きだったはずの物が、良くも悪くも期待を裏切って今の姿をさらす時、
そのしっかり年輪を重ねた魅力を別の形で見せてくれる。
ただ、その魅力を昔のように有り難がるかは、今の価値判断基準に則って
考えるだけの事になるのだが・・・・。
好きな女に再会したら、上品に格好良く枯れていて、
惚れ直しつつ、今の自分には合わないと確認するような、食事だった。
まだ、俺って、欲張りかも知れないね(^_^;)
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