ラベルの字色が変わっている。
製造した年もボトリングした年も記載がなくなった。
明らかに、これは別物だよ・・という意思表示。
だが、その物自体も姿を消す事になり、
その面を見る事が難しくなってきた。
そんな現状と考えて一本手に入れたソレは、前のボトルと並べると
どことなく影が薄く見えたりする。
マッカラン25年(オフィシャル)
口開けの一口で驚いた。
なんじゃこりゃ?
この刺激的なアピールは??
そう、年号の入っていた25年は、素っ気なさ過ぎて拍子抜けするくらい
穏やかで密やかで心許ない顔をするのが、最初の一口の特徴なのだ。
ところがコレは、そんな穏やかさの欠片もないほど刺激臭とアルコール臭が立ち、
わかりやすい25年を模索したような、悪く言えば厚化粧な顔を見せた。
ダメだこりゃ・・・・
「え・・と、悪いけどハウスホールド、ロックでくれない?」
「はい。
こちらは?」
「もちろん、30分放置さ」
25年物には25分以上のエアリングをかますのが、私のやり方。
刺激臭もアルコール臭もそんな時間の間にすっ飛んで、
本来持っている香りやコクが起きてくるのを待つための大切な時間だ。
そして・・・・
30分経った時の味は・・・
やっぱりダメだ。
香りは随分拡がって刺激臭は姿を消したが、
厚化粧な味はそのままで奥行きが感じられない・・・
失敗したかな?
と思いつつハウスホールドを楽しんでいるうちにさらに30分が経過した。
お・・・
随分と姿が変わったぞ・・
だが・・・・
穏やかで上等なファーのような舌触りは蘇らないが、
明らかに25年は経ってるよ・・という景色が見えている。
が、厚化粧な味付けはやっぱりそのままで、
そのアクの強さがその奥から漂う空気をきっちりと隠してしまうのだ。
安い酒じゃないんだけどなぁ・・・
と少しがっかりしながらさらに30分費やすと・・・
まぁ、いいか(^_^;)
これなら、今のマッカランに比べなくても、
それなりのプレミアムがある酒として許せるレベルだ・・・という顔を見せた。
まったく違う酒。
でも、これも、マッカラン。
古き良き時代をほんの少しだけ見せられる、今手に入る唯一のオフィシャルか?
でもきっと、5年も経った頃コレを飲むと、
昔のマッカランって美味しかったんだね・・・
とつぶやくようになっちまうんだろうね。
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