「あの・・・言われたお店が無い・・んですけど?」
「なんでよ〜
簡単に見つかるはずよ〜?」
「それらしい店はあるんですが、『櫻』って名前なんです」
「え・・・と、それは西口の五番街に近い方じゃ?」
「いいえ、ちゃんと鶴屋町に来ています」
「おかしいなぁ・・・」
「店、いっぱいで入れませんから、別にいいですけど」
「じゃ、天間の方に行ってみなよ・・・場所は・・・」
解せない・・・
其の弐が無い・・・なんて
しかし、鶴屋町の店が「櫻」という名前ならば、
系列だから店が入れ替わったのかも知れない。
ならば・・・と確認に行ってみたら、やっぱり「其の弐」は無くなっていた。
聞けば、あっちもこっちも「櫻」なのだとか。
串専門ではなく焼鳥系の店のようだが、
私が海華月に求めている物とは方向性が違い過ぎる。
海華月は内装などの雰囲気も料金のうちに入っているので、
コストパフォーマンスはあまり良いとは言えず、
味の面から見たら焼鳥には「纜」という凄い店があるので、
いきなり興味を失った・・・・(^_^;)
「じゃ、天間の方に行くよ」
「申し訳ありません。」
「年の瀬にいきなり座ろうというのも難しいよね?」
そう、あまりの忙しさにクリスマスも忘年会も忘れていただけの事。
ちょっとマトモな店はどちらもいっぱいで入れる要素も無いのだ。
こんな日は・・・・
行きつけのホテルバーが良い。
観光客が入って来ないメインバーは、
間違いなく座れるはずだから・・・・と行ってみたら、
やっぱりカウンターの角が空いていた。
「いらっしゃると思って、席空けときました」
「え? 読まれてた??」
「今日は、常連の方が多い日なんです。」
「へぇ・・・・。
何故なの?」
「このお店のお客様は大体いらっしゃる日が決まっていらして、
忘年会シーズンは特に顕著になるんです。」
そうか・・・
酒好きしか集まらない外も見えないバーにおいては、
付き合い酒から逃げる場所としての位置付けもあるってワケか。
どこもかしこもバカ騒ぎの夜に、
1人ゆっくり酒を飲める場所があるだけ幸せ・・と思える酒飲みは、
こんな場所が特に大切になるのだろう。
で、結局今夜も飲みすぎた。
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