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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

夏にはやっぱり・・・

土用の鰻を食うワケではないが、
暑さを感じると無性に鰻が喰いたくなるものだ。

暑さですっかりゲンナリしている鰻を食べるバカ・・と思いつつ、
久々に友人達と反町の「菊家」に行った。


「菊家」(鰻)
  045-322-4141
  横浜市神奈川区反町1-7-4
  昼〜20:00 
  日曜休


「ここか〜、噂の『菊家』は」

「風情があっていいだろ〜?」

「美味きゃいいってのも何だしね。
  やっぱり雰囲気も味のウチだな」


そう、奴らはグルメの上、贅沢を好む。
(と言っても、庶民的なレベルだが)


味は、感情によって左右されるもので、
どんなに美味しいモノも食べる環境や状態によって不味くなる。

それが解っていても、生きていく為に働く食欲に負けて、
食べる事を第一に考えてしまうのが動物としての人間の悲しいところ。

そして、味をどうこう言うレベルでないのに、
あの店は美味しくない・・とかほざいてしまう事は多々あるのだ。

やっとの思いで、恋い焦がれた女と食事に行ったら、
完璧な食事をプロデュースしようと気ばっかり遣って味が解らなかった・・
という話を聞いたが、それこそ「本末転倒」の最たる物。

下心に惑わされて味が解らない方がまだ人間らしい・・とさえ思ってしまうが、
それほど「味」に対する人間の尺度はいい加減な物なのかも知れない。


「で、お薦めは?」

「冬の時期、鰻が肥えてきたら安いのでも十分だけど、
  君達は今日が初めてだから・・・・」

「一番良いのを?」
「一番基本的なもの?」
「わかんないから『おすすめは?』ってきいてるのに・・・」

「はいはい、その通り。
  8月の頭にこの店で食べるベストチョイスは、一番高いヤツです」

「くわ〜、やっぱ〜?」
「3000円オーバーかよ〜」

「文句言わずに、食べてみろ。
  半端に金出してつまらない思いをするより、
  ぱっと出して、それなりの物を食べるべし!」

「べし・・ときたか」

「1食に1万とか出すわけじゃなし」


実は、ここの3300円の鰻に興味があった。

勿論、食べた事はある。
ちょっとオフシーズンだったため、シツコイ位の脂にたじろいだ記憶がある。

だが、くそ暑い今のソレはどうなんだろうか・・・

ちょうど良い程度になっているか、
それともやっぱり、コッテリの鰻なんだろうか・・・

いずれにしろ、「菊家」初体験の連中には、
良い物を食べさせて判断させた方が良いと思うのだ。

結局、1人を除いて全員が3300円の鰻重定食をオーダーした。


この店の良いところは、適当に飲めるところ。

大した酒も置いてないのだが、そこそこの刺身や肴が揃い、
ビールや「瑞泉」といった日本酒なんかもあって、時間を潰す事ができる。

小上がりの座卓が適度に安っぽく、高い天井が店舗に古さを匂わして、
独特の落ち着く空間がそこにあるのが有り難い。

こんな店なら、冷房が無い方が良い・・とさえ思わせるほど、
落ち着いた昔懐かしい雰囲気を醸しているのだ。

そして・・・

敢えて飲みに専念した約一名(こいつは、一番安い鰻重を頼んだ)を置き去りにする
特上の鰻重が仰々しく登場した。


「見た目的には、あまり大差がないように思うなぁ・・・」
「ちょっと大きい位?」
「値段が倍って感じは・・・」
「半身分位多いだけ??」


ウルサイよ、お前等。
まず食べてみろって!

上手い具合に、一番安い(と言っても1600円)ヤツがあるんだ。
食べ比べてみれば、よく解るって


「え?・・・・」

「おい・・・」


一口食べた奴らが黙り込む。

ヤバイ・・・
不味かったかな???

と不安になりつつ食べると・・・

美味いじゃん(^_^)


以前食べた時より脂が薄いため、旨味が負けずにちゃんと出てる。

一番安い鰻重を食べながら「美味い」と喜んでいるヤツと半身を交換し、
食べ比べさせると・・・・・


「何だよ・・これ。
  全然、別物じゃん」


同じだったら、怒るよ。
倍以上だよ、値段。

勿論、「野田岩」あたり比べたら分が悪いが、
脂と濃いタレの味に終始せず、旨味が噛みしめるたびに出てくるような味わいがあるのだ。

そして、明治23年から続く歴史が見える店内(戦争で焼けたそうだが)は、
ちょっとだけ昭和の時代にタイムスリップするかのような錯覚を覚えさせ、
それがまた、味に調味料を加えるようにも感じている。


「あのさ・・・
  美味い物喰ってる時って、どうして皆無口なんだろね?」

「・・・・」


どうやら皆さん、本当に美味しいと感じてくれたらしい(^_^)

 
 
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