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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

オフ車

やっぱり・・と言うべき、わかっていた・・と言うべきか、
とにかく今朝も天気は悪かった。

久々に自分で演出するロケだからせめて天気ぐらい・・と思ったが、
今年は天候不順で予測不可。

その事を恨んでも時間が無い事には勝てるわけもなく、
渋滞を避けて早朝の東名高速をひた走った。


今日の取材は、厚木市七沢にある「自然環境保全センター」

仰々しい名前ではあるが、神奈川県の自然を守るところで、
どちらかと言えば研究施設に近い。

そこで紹介するのは自然観察路という谷戸を利用して作られた遊歩道だった。


デスクワークに慣れている自分にとって、久々の自然は随分と強烈だ。

植物の匂い、土の匂い、ぬかるんだ道の感触、せせらぎの水音。

それらは全て知っていたのに、全て忘れていた・・と気付いて
しばし愕然とし、5分ほど立ち尽くした。


最初に乗ったトレール車はスズキのハスラー90だった。
最初に買った新車は、やっぱりハスラーの125だった。

高速にも乗れない125でも、学生の身で購入するにはかなりの苦労だ。

そしてその頃は、どこでも走っていけそうなトレール車が、
大好きでたまらなかったのだ。

フロントタイヤの径が大きい事と車体が軽いせいか、
曲がる方向のハンドルをグイッと押して倒し込む動作が安全にできた。

ワザと逆方向にハンドルを切っては倒す・・・というバカなクセがつきだした頃、
丹沢の山道へ単独で入って同じ事をしたらスリップダウンしそうになってビビリまくる。

でもオンロードに戻ればまた、同じ動作から繰り出される気持ちよい倒し込み感に酔う・・・

今となっては低次元な遊びだが、たかだか100キロの車体をオモチャのように扱う楽しさは、
その当時の私にとってはかけがえのないモノだと感じていた事だ。


ヤビツ峠に向かうダートは、非力なオフ車でもパワースライドが十二分に楽しめる長い道だった。

ゴーグルで守られない顔や着ているモノを埃だらけにしながら、
美味しい空気と森の匂いを浴びるほどに味わう。

20分もダートと格闘すれば腕が上がり、ヘルメットの中までグチャグチャになるほど汗だくになる。

ちょっと広い部分を見つけてどうにかバイクを停めてエンジンを切ると、
鳥の声や虫の音がうるさいほど耳に飛び込み、緊張がスーっと解けていく快感が体中に広がるのだ。


そうか・・・
だから俺はハスラーが好きだったんだ・・・

スピードが出なくても、楽しくて気持良いから、
オフ車が大好きになってたんだ・・・


そのハスラーで走り回っていた場所は、この七沢から先。

空気や匂い、自然の織りなす音や風が昔と同じように感じられても、
ある意味当たり前の事なのだ。

降り注ぐ雨も、時折まとわりつくように吹く風も、
忘れていた感覚と記憶を呼び起こす力に溢れ、
いつの間にか極々自然に取材を行う事ができていた。


バイクって面白い。

五感の何処かに潜んでいる記憶の鍵は、
いつもライディングの時に刻まれたモノのように思える。

だから、その記憶の鍵穴に合う鍵を見つけると、
今日のようにライディングシーンが蘇るのだろう・・・・

また、オフ車に乗って山道を走ってみよう・・・かな(^_^;)

 
 
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