原稿を書く事、それが仕事になるのは、何だか不思議な感じがした。
自由に書く事には慣れていても、制約だらけの中で意志を封じて書く事には苦痛が伴うから、
仕事だと割り切る事にこそ、早く慣れなくてはいけないのだろう。
いよいよ来週には、私が担当する番組の取材が始まる。
だから、最後のツメに・・・と原稿を書いているのだが、
何分にもサジ加減がわからない。
だから苛つき、だから不安になるが、
自ら思い描く番組のイメージがドンドン現実化していく事は、やはり楽しいのだ。
一つ一つ蘇る技術は、その都度に我が身を研いで、
見えるモノや感じるモノはその姿を変えていくのがわかる。
そして、気がついたら2キロほど痩せていた(^_^;)
「あんたってホント器用よね」
「そんな事ないよ」
「でも、普通はそれだけブランクあったらできないでしょ」
「確かに。
でも、ひでぇもんだぜ・・・
誰も心配してくれないんだ。」
「日頃、偉そうな事言ってるからじゃないの?」
「そうかもなぁ・・・
でも、ちゃんと技術が無くならないように努力はしてたのさ。
ただ編集機の使い方は忘れてるな」
「でも、心配もしれもらえない・・・と」
「そう。
使い方がわからん・・と言えば、
『大丈夫だよ、自転車と一緒で絶対忘れてないって』
としか返ってこない」
「あはは
まぁ、そんだけ偉そうな顔してたって事じゃないの?
諦めて腹くくって実力見せればいいじゃない」
簡単に言ってくれるよ・・・
マジにキツイんだぜ・・・・
でも、場があれば頑張るしかない。
場が無くなって苛ついた事を思い出せば、場が用意されるだけでも幸せな事だ。
シンドイ事を、平気な顔をしてこなすのが好きだ。
水面下では必死に漕いでいても、水面上は優雅に浮いているように見える水鳥のように、
やべ〜とか愚痴りつつも当たり前にこなしてしまいたいと、企んでいる。
そんな想いから、数年ぶりに編集機を触りに編集室に向かうと、
自然に指が動作を思い出すのが感じられる。
よし!
それじゃ、現役で頑張ってる連中と同じレベルにまで、
出来上がりを持っていってやろうじゃないか・・・・・と心に誓う。
やっぱりゴールキーパーをやってるより前でプレーする方が好きなんだよ、俺は・・・・と感じつつ、
それでも一歩退いたポジションから物を見るようにしているのは、私の基本的なスタンスが現れているのだろう。
それが、前回の現場から13年経ったって事らしく、
それが、今の自分らしいと感じる事が嬉しく、
それが、この変化から得た大切な感触の一つだ。
そして今、私は厳しい現場を楽しんでいる。
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