商品撮影をして欲しい・・・と依頼がある。
普通の撮影だったら断るところだが、私らしいアングルで撮っていい・・と聞かされ、
商品がマトモに写らなくていいなら・・・と引き受けてみた。
湿度が高く、梅雨の最中とは思えぬ暑さに体力を奪われるが、
作り出せる時間が短いので、贅沢にタイミングを待つ事はできない。
後輩から借りた一眼レフのデジカメで、自分しか撮れない角度を探ってみる。
不思議なものだ。
すっかり忘れていたアングルが、物を見た瞬間に、当たり前に蘇る。
無意識に身体が動き、そのアングルを確実に切り取ってしまう。
一度走ったワインディングを忘れないように、
身体に染みついた記憶は、必要に応じて蘇るようにできているらしい。
写真は、その瞬間を切り取るだけではなく、
撮る人間の心を一緒に記録するメディアだ。
だから、同じ物を撮っても人によって全然違ってしまうのは、
誰だって想像できる事だと思っている。
そして、やっぱり自分の世界が、デジカメの中に存在していた。
テレビの世界で表現できる事は、純粋に嬉しい。
例え、不自由な環境で制限されたモノしか扱えなくても、
自分らしさを十二分に出せる事には変わらないからだ。
まだ、自分が番組を担当できないでいるが、
どんどん表現に関わる仕事の依頼が集まってくるのが面白い。
そして、以前のリレーションが
どんどん蘇ってくる事も不思議で面白いのだ。
いつか何処かで、きっと再会する。
それは、人間同士の付き合いに限らない。
物理的なモノも感情的なモノも、全ては巡り巡るモノだ・・と感じている。
使い切って無くなったモノは、姿形を変えて返ってくるし、
期待しないで与えるだけの感情も、ちゃんと実を結んで何らかの形で蘇る。
そんな禅問答を、一人頭の中で遊んでいた時、
今もカメラを握っている自分が、少しだけ可愛いと思えて吹き出してしまった。
しかし、進歩ないよなぁ・・・・(^_^;)
|