スタンバイ・・・とは、準備の事。
わが業界では、収録やOA(オンエア)の前日に、
その準備をする事を総称してそう言う。
放送に必要なありとあらゆる物を揃え、
全てにおいて間違いがない事を確認する。
単純で単調な仕事のようで、想像力と緻密さが要求されるその仕事は、
たいがい睡眠不足の極致の状態で行われるか、
全てが揃わない状態で仕方なくできるパートから進められていたりする。
(放映用VTRの編集が、その時点では完了していない事も当然あるのだ)
生放送においてはこのスタンバイが完璧に終了していれば、
本番は半分寝ていてもどうにかなる・・・と言えば、その仕事が想像できるだろう。
今日は、久々にそのスタンバイにつきあっていた。
まだまだお客様状態の私ができる事と言えば、
単純作業ゆえ見落とすエラーを見つける、チェック作業だけ。
重箱の角をつつくようなしつこさ嫌らしさでチェックして、
完璧だ・・・と信じ切ってOKを出した。
が、他のディレクターが見直すと信じられないミスが見つかって、
まだまだ注意が足りない・・・と思い知らされた。
「こんな事、よくやってたなぁ・・・」
「何言ってんですかぁ、ベテランが」
「発音が違うよ、一番最初のベが強い方のベテランだよ」
「どういう意味ですか?」
「イントネーションが違うと意味が違うのはよくある事。
普通はエキスパートの事を言うけど、この場合は退役軍人の事を指すのさ」
「へぇ・・・・
そんな事知らないっすよ。
まだ、そんな歳じゃないでしょ?」
「気分は、そんな感じだよ・・・・」
各部署に挨拶に回り、どの部署でも歓迎を受ける。
その事は、必死に頑張っていた13年前の自分がまだ、
彼等の中に生きている事を想像させてくれて、ホッとできる。
そしてそれは、その頃より良い仕事を求める無言のオーダーとして、
なんとなく大きなプレッシャーになって返ってくる。
毎日が、再発見と新発見。
そして変わり果てたはずの仕事が、
実はあまり変化していない・・・という事実にも驚かされる。
ま、そのうちナントカ、な〜るだぁ〜ろ〜♪っと
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