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ある日、いつものように立つはずのノボリが無くなっている事に気付く。
営業している日は必ずノボリを立てる店だから、
休んでいるんだろう・・・と気にもせずにいたのだが、
それが１週間も続くと気になりだす。
で、覗きに行くと・・・・
あれ？
この店、閉めた？？
明かに、主を失った店舗がソコにあるだけ・・・・
それは、入れ替わりの激しい飲食業における敗者の姿にも見えて、
しばし愕然としながら、その理由を想像してみたりする。
移転か、休業か・・・
いつも混んでいたあの店が休業するわけはないのだが、
移転先案内が無い・・となるとやっぱり？？
いずれにしろ今は、食べたかった物が食べられない事態は変わらないワケで、
頭の中に浮かんだ沖縄料理をかき消さなくては落ち着く事もできないだろう。
そう、
このページでも何回か紹介した「遙喰」が、
店を閉めていたのだ。
「ロブロイ」のマスターなら、近くの飲食業に詳しいはず・・と
空きっ腹を抱えて「ロブロイ」に飛び込むと、幸いにして移転先が判明した。
松本町商店街の中程に、もう少し大きい店を居抜きで借りた事らしい・・・と。
ゴーヤチャンプルーを食わせろ〜！
と心の中で叫びながら松本町商店街を歩いていくと、
和風料理店のような店先にあの「沖縄そば」と書いたノボリが目に飛び込んできた。
「いらっしゃい〜
あ、どうも〜」
「こんなトコに移ってるって知らなくて、悩んだよ〜」
「本当はもうちょっと前の店に近い場所に移る予定だったんですけど、
色々な事情があって駅から遠くなっちゃいました。」
「盛況だねぇ」
「コッチの方が広いので、お客様を帰さないですみます」
店長夫妻の他にスタッフも増え、長いカウンターの他には
小上がりとテーブル席もある30名は入れそうな大きな店になった「遙喰」
メニューを書いた紙がいっぱい貼ってあるのは前の通りだが、
店の造りは寿司屋っぽい感じで、ちょっとだけ高級感が漂っていた。
ゆし豆腐
島らっきょうの天麩羅
ゴーヤのお浸し
といつものメニューをオーダーし、飲むのは当然オリオンビール（笑）
しかし、前の店とはちょっとばかり勝手が違った。
ビールが無くなっても、料理が来ない。
仕方が無いので、「いりおもて」（泡盛）を一合オーダーして飲んで待つが・・・・
料理が来ない。
何でだ〜？？
と店内の様子を見ていて気がついた。
スタッフは増えたが、料理は店長一人が作っている。
つまり、収容人数が増えても、料理人の数は変わらないため、
待たされる時間が長くなったのだ。
過ぎたるは及ばざるが如し・・・か。
しかし、突破しなければ大きくなれない壁もまたある。
そしてその壁は、必ず見えているにも関わらず、
力が備わらないうちには、とてつもなく高く見えるものなのだ。
店内はほぼ満員状態で、どの席も料理が出るのは遅いようだが、
誰一人文句言わずに、楽しく酔っぱらっているのがわかる。
そして自分もまた、泡盛で気持ちよくフラフラになっていて、
だんだん料理が遅い事も気にならなくなってきた。
そう・・・
ここは沖縄の風を感じる店。
若干の遅れは南国では当たり前の事。
そして誰もがアクセクせずに、ノンビリ構えて生きている。
だから、慌てて飲んだり食べたりせずに、
ゆったりとした沖縄タイムも楽しんでしまえばいいのさ。
「お待たせしました〜
時間かかってすみません」
「いやぁ・・・いりおもてが美味しくって(^_^)」
「ありがとうございます」
腹の底からにこやかになれたのは、
店長の笑顔と沖縄タイムのおかげかも知れないね。
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