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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

ぶふ

居酒屋と飲み屋の境は難しい。

酒を飲めばどうしても自制心が弱くなり、
耳も遠くなるから大きな声になる。

渋い料理屋においても、多くの酔客が集えば、
居酒屋と変わらない状態になるのは当然の事だ。

だから、飲む店に行ったら先に酔っぱらうしかないのだが、
それにしても「ウルセェ!」と怒鳴りたくなるような店も存在する。


久々に横浜駅近辺で、友人と酒を飲む事になった。
いつもの店じゃ芸が無いので、たまに行くマトモな店へ行く事にする。


「味工房 ぶふ」
  045-311-0723
  横浜市神奈川区鶴屋町2-16-6
  レスポアール295ビル地下1階
  平日  17:00〜29:00(LO28:00)
  日・祝 17:00〜24:00(LO23:00)
  無休


ここは、有名な日本酒が各種揃い、しかもそこそこリーズナブルで嬉しい店だが、
特筆すべきは、器の楽しさと料理の美味しさかも知れない。

だから仕方の無い事だが、西口においてはちょっとマトモ過ぎる店にも関わらず、
入る客の質が今一歩よくない印象があった。


「へぇ・・・
  こんなところに良い店があるんだ」

「ちょっと雰囲気はいいだろ」

「あぁ・・・」

「でも、なんかウルサイなぁ・・・今日」

「飲み屋なんてそんなもんだろ」

「まぁな」


まずは・・と生ビールをオーダーし、豆腐系のつまみを頼んだが、
それにしても今日は賑やかだ・・・と感じる。

見渡せば、テーブル席も座敷席も客で溢れ、
しかもそれぞれがかなり飲んでいるように見えた。


「なんか・・・さ、マジにウルサくね?」

「そうだな。
  いつもはここまでウルサくないんだが、
  今日はちょっとばかり度が過ぎる感じだ・・・」

「最近人気が出て、『十四代』があるって書いてあっても
  実際は置いてない店って多いじゃん。
  この店はあったからまだいいけど・・・・」

「いや、ここもある時とない時はあるよ。
  必要以上にプレミアムをつけて売る商売って、
  結果的に客離れを誘発つるように思うけど・・さ」

「だよなぁ・・・」


その時、目の前に紫煙が横切った。

酒を飲む場での喫煙は基本的に文句を言わないし、
自らも葉巻を楽しんだりするから、隣の喫煙は無視するようにしている。

だが、あまりに露骨に煙だらけになると、不愉快な気分になるのは仕方がない。
で、煙の主を探すと・・・

隣に座った客はたばこを握ったまま、こちら側に手を伸ばして大声で語っていた。

どうりで、煙と灰がこちらへ飛んできくるわけだ。


「あのさ・・・
  悪いんだけど、この店出ないか?」

「あぁ。 俺もそう思ってた。」

「久々に話しようと思ってたのに、
  こんな状態じゃ、つまんないじゃん。
  ごめんよ。」

「気にしてないさ。
  お前が選ぶ店らしく、確かに食い物は美味かったよ。」


決して、店が悪いわけじゃない。
だが、客がその店の評価を変える事は、往々にしてある。

だから、初めて入った店では、必ずトイレに行くようにする。

トイレが汚ければ、間違いなく客層が悪い・・・・と解るからだ。

誰もが使う可能性のある場所を汚く使う客は、臨席の他人に気を遣うなんてできるわけはなく、
そんな居心地の悪いトイレしかない店でも気にならない鈍感な人間なのだ。
そして何故か、そういう人間は安い店に集中する。

だから、安く飲める居酒屋には、自ら足を向ける事は殆ど無い。


横浜駅といういくつもの路線が交差する駅のそばにある店は、基本的に客層は悪い傾向が強い。
しかし、不思議な事にこの店は混んでもあまり荒れる事は少なかった。

だから友人を誘ったのだが・・・・


「で、次はどこ行く?」

「そうだな。
  じゃ、ちょっと隠れ家っぽいバーがあるけど行ってみるか?」

「お〜いいねぇ」

「アイラ系のモルトが多いけどいいか?」

「ますますいいねぇ」

「あれ?
  アイラモルトなんて飲んだっけ?」

「ラガブーリンはよく飲むぜ」

「そうか。
  それじゃピッタリだ。」

「どこ、行くんだ?」

「『ウルトラボーノ』って店なんだけどさ、
  コレが知らないとちょっと行けない感じの場所にあって、良いんだよ」

「・・・っと、こんなとこ入っていくのか?
  しかし、狭いエレベーターだよな」

「良いだろ〜 この感じ。
  店知らないヤツは、絶対このエレベータ見た瞬間、入るの止めるさ」

「かもな・・・・」


雑居ビルの小さなエレベータを降りると、いきなり想像のつかないようなバーがある
・・・・はずだったが


「職員研修のため、21時半から営業します・・・・だぁ??
  もう11時だぞ(-_-;)」

「なんだか今日はやられたって感じだな」

「ど〜する?」

「お前が最後に行く店に行こうぜ」

「反町だぜ?
  歩いていくか?」

「おぅ
  その方が静かに話できるじゃん」


何も飲みながらじゃなきゃ、話ができないわけじゃなかったな(^_^;)

 
 
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