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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

食べる

常々、思う事。
それは、食事の相性は重要だ・・・という事。

食べる物の好み
食べる時のマナー
食べるペース

それらは、日頃の生活がモロに出るもので、
それらが合う・・という事は、お互いの生活感が似ているという事を意味する。


自分が上品に食べるわけではないけど、最低限の気配りはしているつもり。

そしてそれが、自分にとっての基準になっているのだが、
その基準に合わない人のしぐさは凄く気になって、いつの間にか不愉快の種に換わっていくのだ。


「何食べる?」

「何でも。
  貴方が良いと思うものでいい?」

「じゃ、最近肉喰ってないから、ソッチ系でいい?」

「いいよ〜」

「ステーキは?
  鉄板焼きの『横浜』か、グリルだったら『ジャックス』か・・」

「う・・・ん
  重いかな・・・」

「そ・・・か
  じゃ、焼肉にする?『関内苑』とか・・・」

「焼肉は・・・匂いが服についてヤだな。」

「そう・・
  じゃ、『つばめグリル』でも行ってハンバーグでも食べる?」

「う・・・・ん」

「気に入らないようだね。
  じゃ、軽く『ウィンドジャマー』で『キャプテンズバーガー』を半分っこする?」

「ハンバーガーだったら『モス』の方がいいな・・」


あのさ・・・
肉が嫌ならそう言ってよ(^_^;)

と、食べる前にむかつかせてくれる人もいないワケじゃないが、
この会話中に、「今日はどういう気分でドレくらいの物を食べたいですか?」という
メッセージを入れてのさぐり合いがなされ、それはそれで楽しい会話となりうる物だったりする。


「寿司はさぁ・・・
  握ってくれたそばから食べるのが一番美味しいんだよ」

「ふう・・ん
  でも、その勢いでガンガン食べるのは、ちょっと嫌かな」

「そういう時は、お任せで握らせずに、自分で食べたい時に頼めばいいのさ」

「そうする(^_^)」

「すいません、中トロと平目、もし縁側あったらそれは塩で」

「私も・・・・」

「じゃ、それぞれ、1カンずつお願いします」


「へい、お待ち!」


飯台に置かれた瞬間にペロッと食べてしまう私とは正反対に、
彼女はゆっくりと箸で一つずつ摘んでは、タップリとネタに醤油をつけて食べる。

そして、あまり量のない縁側は、表面についた塩が振られたカボスで溶けて結晶が消えてしまっても
そのまま置き去りの扱いを受けたまま、5分を過ぎてしまった。


「あれ?
  縁側嫌い?」

「・・・好きよ」

「なんだ、嫌いだったらもらっちゃお・・かなって思ったんだけど」

「大好きな物は、大事に取っておくのよ」


確かにその考えは否定しません。
だけど、態度は嫌いだって伝わっているんだよ・・・

こういう時は、自分が食べたいものの中で、
いちいち彼女に食べるかどうか内容と味を説明しながら
板前にオーダーするようにしている。


「何かおすすめは?」

「そうですね・・・
  今日は、カツオ、サンマ、アジ・・・・あたりがいいですね。
  後、活のいい帆立を貝殻から剥いてもいいですよ」

「じゃ、サンマとアジを」

「彼女は?」(板前がじれてきたようだ)

「あ・・・光物は苦手で」

「じゃ、帆立はどうですか?」

「貝、苦手なんです。」

「帆立は大丈夫だよ、普通の貝とは全然違うよ」

「前、そう言われて食べたら、やっぱりなんか匂って・・・」

「ウチのは、生きてる貝だから、絶対大丈夫だって」


あ〜あ、板さん、むきにしちゃったよ。
寿司へ行こうって決めた時、何故、食べるものが少ないって言わないんだろ・・・

寿司嫌いでも食べられるようにって相談しておけば、
板前の腕でいくらでも食べられる物を作ってくれるのに・・・
(過去、山田屋では、寿司が苦手な人間を腹一杯食べさせてくれた事があった。
  生ワサビの巻物まで作ってくれたのには、頭が下がったが)


一緒に食事を楽しむのは、1対1の付き合いの中では大事な事。

そして、二人の時間を大切にしたいから、お互いが楽しめるものを食べたい・・と思うのに、
彼女は、何か食べたい物があるわけではなく、どれだけ自分を大事にしてくれるかを
計っているようにさえ思えるのだ。

高級な店に行けば満足するんだったら、そういう店ではそれなりのマナーを守って欲しいと思う。

そのマナーは、結局食事を楽しむためのルールみたいな物で、
堅苦しいものではないのだが。


「試しにどうぞ。
  騙されたと思って食べてみて」

「・・・はい」


彼女は、出された帆立の切り身(普通の半分のサイズ)を恐る恐る口にした。


「美味しい!
  何ですか?コレ??」


な〜、美味しいだろ!といった感じの板前。
嬉しそうな彼女の顔を見て、コッチも少し嬉しくなったのは言うまでもない。


そう、
食事は同席した人間といっしょに楽しむもの。

だから、マナーがあったりコミュニケーションがあったりするものだ。


食事を共にして楽しめない人とは、深いつきあいにはなれない。

それは、生活感と思いやりの交錯する、しかも生存に直結する行為を
ストレスなく過ごせない事が、結局長続きさせない根本的理由となりやすいからだ。


でも、最近、
深い付き合いより、一緒に食事を楽しむ事の方が、
大事になりつつあるのは何故なんだろうね(^_^;)

 
 
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