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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

むかつく事もある

なんだ、この野郎は?
と露骨に敵視するような眼差しを受ける。

いるんだよな・・・こういうヤツ(^_^;)

自分とは違う人種に対して、無遠慮で無神経で失礼な態度を見せられると、
コッチもそれなりの挨拶を返したくなるのだが、ここは私の家ではないのでグッと堪えた。

ヤツが特に観察するのは、私の身につけているリングやブレスレットと時計らしい。
(けっこうギラギラ、ジャラジャラしている)

テーブルに無意識に置いた財布や、派手なカットオフにも興味津々らしく観察をやめない。
しかし、これ以上露骨に観察するなら・・・と思うと同時に、スッと目線を外してしまった。

ま・・・、これで観察が終わってくれればいいんだけどな・・・


海華月 其ノ弐
  045-412-6883
  横浜市神奈川区鶴屋町 3-29-11大和ビル1F
  [月〜金]朝11:30〜昼2:00,昼5:00〜深夜0:00(フード LO夜11:00,ドリンクLO夜11:30)
  [土日祝]昼5:00〜深夜0:00(フードLO夜11:00,ドリンクLO夜11:30)


金曜日は遅くまで営業している事を承知しているから、
11時をまわってから食事をするためにこの店に来た。

私のお気に入りの席は、入口から一番近いカウンターの角。
カウンターしかないこの店において唯一マンウォッチングに適した場所でもある。

しかし、こっちから見える・・という事は、他の客からもよく見えるわけで、
時にはこういった視線を浴びるのはしかたがない事だ。

それにしてもあまりに露骨に観察されると、それも見下すような態度でされると、
何故か無性に腹がたってくるものだ。

あまりに失礼だったら、ご丁寧に挨拶差し上げれば良い・・と腹をくくり、
コチラも同様に観察させてもらう事にした。


肥満気味の身体にくたびれたシャツ姿。
連れた女は少しはマシだがやっぱり太めで、流行からは乖離した姿をしている。

年齢的には私と同年代か、それより上・・・といった感じのカップルだが、
如何せん飲み方が下品で見ていて気分が悪い。

身体を斜めにたおして片肘をつく。
頼んだ寿司は皿の上に放置したまま、だらしなく酒を舐めている。

空いた手は女の背中や首に這わし、耳元に口を寄せてコソコソ喋ってはガハハと笑う。
女もそれを楽しんでいるかのようにニヤついて見せる。

で、そのじゃれ合いに飽きるとまた、コッチをジロジロと品定め。

「若造が良い時計しやがって・・」と聞こえるように呟くのを聞いて、
それに腹を立てるところまで落ちるのがバカバカしくなってきた。


いいじゃねぇか、俺がどんな物を持っていようと。
お前は俺の持ち物を見て、何を判断したいんだ??

とっとと裏のホテルにでも行きな!
お前等が居ると、酒がまずくなるんだよ!

という気持が心の中に湧いた時、彼等は勘定をして店を出ていった。


「すいません、うるさくて」

「いやいや、いいですよ。
  金曜の夜だから、色々なお客さんがいるでしょうし」

「あんまりああいうお客さんはいないんですけど」

「夜遅いと・・・?」

「そうですね。」


板長が不愉快な顔をしていた私に気付いて、声をかけてくれた。
実際、そのカップルが出た瞬間から、店の中が和やかになったのが解る。

つまり、その客以外の全員が、嫌がっていた・・・という事らしい。


週末の元町で、「ルイ・ヴィトン」へ入ってみると面白い。
何故か絶対に似合いそうにない人種が、山ほどいるのだ。

サンダルにジャージ姿で、下品なだけの装飾品を身につけて、
真っ直ぐ立てないような落ち着きの無い態度の人間達。

そして彼等は、店員にアレコレ見せろ・・と命令するのだが、
店員達は半分無視しつつ適当にあしらっていたりする。

そりゃそうだ。
彼等が望む物はLVマークの入った「モノグラム」ばかり。
そしてその殆どは触り倒しただけで買いもしない客なのだ。

自分の格好も、ヴィトンから見れば同類に見えるのだろうが、
買い物に行った時には、ちゃんと椅子まで出してもらえるから面白い。

それは、ちゃんと買い物に来ました・・と態度に表しているからで、
店員もそういった人間は客として扱ってくれるのだ。
(勿論、買い物もするけどね(^_^;))


人は、感情の生き物だ。

お客様は神様だ・・・とふんぞり返ったら、
そこに人間関係は生まれなくなる。

勿論、商売の掟は厳格に存在してはいるが、
人間対人間の関係が生まれる以上、お互い気持ちよく居られる方が楽しいと思う。

だから、カウンターで食べたり飲んだりする事が好きになり、
客同士として並んだ見知らぬ人へも気を使いあうのは当然だと考えるようになった。


「ありがとうございます」と板長が見送ってくれる。

そして背後から切り火の音がカチカチと響く。

そう、この店では帰る客を切り火で送りだすのだが、
その音を聞いていてふっと気がついた。

あの嫌な客には、切り火を切ってなかったなぁ・・・と。

 
 
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