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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

ラグーンにて

「今日は、他にお客さんがいません」

「え?
  そんなに客がいないの?」

「いいぇ、朝からスキューバのツアーに参加した人はかなりいらっしゃるんですが、
  シュノーケルツアーには希望者がいないのです。」

「じゃぁ、今日は船、出ないの?」

「いいえ、出しますよ。
  貸し切り状態で」


昨晩、飲み屋で「フランシス・アルバート」を教育したりして遊んでたせいで寝坊し、
朝から一日中海の中に居るツアーには参加できなかった。

が、元より泳ぐ事が目的ではなく、飲み、食べ、遊び、ついでに海に浸かってリラックスするための
来島だから、半日だけでも海に浸かれれば文句はない。
そして、運良くボート一艘を借り切っての海遊びなら、贅沢この上なくて言うこと無しだ(^_^)

どんな所に行きたいか?と尋ねられてもコッチには解る術もないが、
特に深く潜るわけでもないので、魚を睨めっこできる場所・・・とオーダーした。


「よかったですねぇ
  梅雨明けして」

「私は晴れ男だから、
  ちゃんと台風が行っちゃって梅雨もぶっ飛ぶって思ってましたよ。」

「これから暑くなるんですよ〜」

「でも、お客さんも増える・・し?」

「そうですねぇ〜」


珊瑚礁の合間を器用に縫って走るボートは、
希望した魚だらけの珊瑚礁が集まるポイントに着く。

ウェットスーツを着て、自前のマスクと借りたフィンを装着し、
そのまま海に飛び込むと・・・・

辺り一面に、熱帯性のカラフルな魚達が群れをなして泳いでいる。

これが、見たかったんだよなぁ・・・・と、しばし時を忘れて魚を眺めて漂った。



いつもキリキリと気を張って、
間違いが出ないように細かくチェックし、
笑えない状況を知りつつとぼけた顔を晒す毎日。

その、プレッシャーを楽しめるうちはまだ良い・・と思っていても、
いつの間にかストレスが蓄積し、苛つき、場合によっては身体を壊したりするのは、
弱い人間としては当然の事。

だからいつも、現実逃避に似た非日常へのシフトを必要としてきたのだが、
今年はSARS問題等もあって香港行きが潰れていた。

そう・・・
いつもできていたガス抜きできずに、
全力で突っ走って息切れしていたのだ。


「何時も潜る事はしないのですか?」

「えぇ・・
  昔シュノーケルで水抜きがうまくできなくて、
  それ以来漂うだけなんです。」

「今お使いのシュノーケルなら、問題なく抜けますよ。
  耳抜きはできますか?」

「ダメですねぇ・・・
  入りにくく、抜けにくい耳なんで」

「試しに潜ってみませんか?」

「・・・・」


ヒマを持て余した船長が、簡単に潜り方を教えてくれる。
ウェットだから元々沈まないし・・・と思ったが、あまり薦めるので潜ってみた。


海老のように身体を折って逆立ちをするように水面に対して垂直になると、
水面に出た足の重みで面白いように身体は潜ってゆく。

フィンで水を蹴れば、さらに深く潜るのだが・・・・
そこで深度は深くなる事を拒む。

何度かトライしているウチに、耳抜きは上手くできないものの
2m以上は潜ったままでいられるようになれた。


面白い・・けど、耳痛い・・な(^_^;)


目の前に、タツノオトシゴの顔を長く伸ばしたような細長い魚現れた。
水流に身体の向きを合わせて制止しているソレは、「ヤガラ」という魚だと船長は言う。

何処かに群をなしているはず・・と聞かされて泳ぎ回ってみると、
10尾以上が群れているのを見つけた。

短いので1mに欠ける長さ、一番長いヤツで2m近い感じの奴らは、
傍に寄っていく私を煙たがる事もせず、興味深そうに見つめているのだ。


いいよなぁ・・・・お前等
ここで日がな一日ボ〜ッとしてんだよなぁ・・・


水圧と浮遊力を感じながら、日常使わない筋肉を動かし
日頃有り得ない場所に重心を移動させる面白さ。


こんな楽しみって忘れてたな・・・


「すいませ〜ん
  そろそろ帰りましょう〜!」

「は〜い!
  もうそんな時間ですか〜?」

「もう4時回ってま〜す!
  これ以上ここに居ると出られなくなりま〜す!」


ラグーンは潮が退くと水路が無くなる。

それに、契約した時間をとうに過ぎている。

楽しい時間は過ぎるのが早いな・・・・と感じるが、
久々に時間を忘れて楽しむ事ができたのは嬉しかった。


「さ、帰ってオリオンビール&石垣牛のにぎり・・だな」と、独り言。

ダイビングショップへ行く途中で見つけた料理屋のボードに
「石垣牛のにぎり・2カン500円」という文字を見つけていたのだ。

牛肉のにぎり・・・・どんなだろうね(^_^;)

 
 
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