新しい仕事への引継を兼ねて、現場へ徐々に入っていく。
懐かしい面々に挨拶をし、新しく組むスタッフと同じ仕事をしながら、
瞬間瞬間に忘れていた感覚が蘇ってくるのを実感する。
それは、族長命令でバイクから離れ、また族長命令で復帰した時を思い出す。
おっかなびっくりバイクに跨って、
曲がる瞬間に一々恐怖を感じて、
1秒ごとに感覚が蘇り、
新しく出来上がる感覚が研ぎ澄まされていくように・・・
そう、自らの能力を失わないように、
基本的な能力を維持する努力は続けてきた。
いつか使う時が来る・・・と予測し、
出来ることなら自分のためだけにその力を駆使したい・・・と願い、
再構築するための準備をし続けてきた。
その結果は、完全復帰をした時、
自分にだけわかる形で明らかになるだろう。
「身体が覚えてるよ!」
「ベテランが何言ってるんだ?」
「大丈夫だよ!」
「全然心配してないよ!!」
昔の仲間から叱咤激励の暖かい言葉をかけられると、
孤軍奮闘していた頃の仕事が本物だった・・と証明されたように思えて嬉しい。
そして、13年ぶりの最前線復帰に対し、
今の年齢の自分を十二分に出す仕事ができるように頑張らねば・・と感じる。
そんな事は有り得ない・・と決めつける事は、楽天的で甘い。
現実にギリギリのところへ追い込まれれば、
その時にその厳しさを再確認するはずだ。
どこかで現場復帰への時間を長く取ろうとする自分と、
即刻最前線に飛び込み、早く慣れたい・・と思う自分がいる。
そしてその、早く現場に飛び込みたい自分を見つけて、
まだまだ尖っていられそうだ・・・とニヤついた。
能力を最大限び振り絞る事が大好きだ。
バイクや車は、完璧にチューニングされたモノが大好きで
ソレを操れる事に喜びと幸せを感じつつ、自らの性に呆れさえする。
仕方がない・・・、ギリギリが好きなのだ
そういう走り方でしか、生き残れなかったのだ
そんな自分を再発見して、少しだけ安堵できてしまうのが
面白くも悲しい性格だと思う。
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