「もう遅いから簡単な所で食べない?」
「いいよ。
どこ行く?」
「牛丼屋か〜カレー屋」
「やっぱり飲み屋行こうか??」
「今日は飲む元気ない」
「中華でも食う?」
「深夜でやってる店には飽きたし・・・」
「・・・じゃぁ、ペッパーランチは?」
「いいね。
最近行ってないし」
初めてその店に入ったの何時だったろう・・・
とにかくファストフード店である事は解っても、どんなものが出るか解らないネーミング故、
しばし外から食べている風景を覗いていた記憶だけが残っている。
その時は、何だか解らない肉料理屋だとしか思えなかったが、
そのうち匂いに誘われて飛び込んでみて驚いた。
加熱した鉄皿の上で調理する、思いっ切りジャンクでワイルドな料理は、
とにかく肉を食わせろ・・という人にピッタリな物だった。
280度まで加熱された特別製の皿は何故か随分長い間熱さを保つので、
生肉を載せて出しても充分に火を通せる仕組みになっている。
(20分後でも80度を保つ・・と店は言う)
オーダーしたのは「ビーフペッパーライス」(640円)というベーシックな物だったが、
ご飯をドーナツ型に盛り、真ん中にはバター&ソース外側には生肉がズラッと並ぶのだ。
肉を上手く焼き、ご飯とソースをうまく混ぜながら一生懸命かき混ぜれば出来上がり・・・
のなんとも言えない牛肉炒飯もどきは、冷凍食品のガーリックライスにも似た食欲をそそる逸品となる。
これに黒胡椒をガシガシとかけ、備え付けのソース(甘いのと辛いのがある)を混ぜて食べれば、
充分に幸せを感じられる・・・と一発で気に入ってしまった。
「ハンバーグもいいな〜」(目玉焼付きハンバーグライス付き :750円)
「ステーキ&ハンバーグってのもあるぜ?」(ステーキ&ハンバーグ盛ライス付き :800円)
「そんなに食べられないよ。
それよりハヤシライスってのが気になるね」
「ハヤシかぁ・・・
いや、初心貫徹『ペッパーライス』・・・あれ?
この『カレービーフペッパーライス』(660円)って何だ??」
ハヤシ・・と言われてすぐソレが頭に浮かんだせいか、
カレーという文字にすっかり心を奪われてしまったのは言うまでもない。
久々の「ペッパーライス」なのに、食べた事の無い物に対する興味の方が強く出て、
20円プラスのチケットを買ってしまった。
ペッパーライスは単なる炒飯。
だが、それにカレー・・となれば、ドライカレー&牛肉じゃないか(^_^)
と妄想と期待が入り交じる待ち時間。
こうやって食べろ・・と書かれた紙(油はね防止用にもなる)製ランチョンマットを眺めつつ、
ドライカレーの炒め方はどうするんだろう・・・と単純に考えていた。
ジャーと派手な油はねの音を立て、もうもうと上がる水蒸気を纏いながら出てきたソレ。
ど〜れど〜れ・・とじっくり見ると・・・
お〜い!
確かにこれはカレーだよ・・・
だけどさぁ・・
カレー粉ぶっかけただけ・・・・ってのはどうなんだよ???
そう、普通のペッパーライスのご飯の上に、
カレー粉がまぶしてあるだけの料理だったのだ。
混ぜればカレー味になるのはわかるけど、コレはカレー風味のペッパーライスであって、
決してカレー炒飯って食べ物ではない・・・・。
でも、文句は言えない。
どこにも、カレー炒飯やらカレーピラフとかは書いてないのだから・・・・
「メニューの小さい写真に騙されたって感じ・・・」
「だから、ハンバーグの方が良かったのに」
「なんかさぁ・・・
ちょっと蒸し暑めになってくると、さぁ・・・
カレーってそそられるじゃん」
「所詮『ペッパーランチ』なんだから、
多くを期待しない事よ」
「そうでした
その通り
多くを期待する方が馬鹿でした・・・」
「そんなに美味しくないの?
ちょっと食べさせて?」
「ちゃんとカレー味の『ペッパーライス』だよ」
「美味しいジャン。」
「だから、期待しすぎただけよ。
マズイ・・・なんて言ってないじゃん」
まだ見ぬ物を予想する時、
期待を重ねて、より素晴らしい物を勝手に作り上げる事は多い。
そして想像は、頭の中で化け物と化す。
謙虚に生きる事。
多くを望まない事。
それは、人間が持つ卑しさに負けない智恵でもある。
しかしそれでも・・・
多くを求める性が人間にはあるから、
今日のような発展もまた実現したと言えてしまう。
欲深き私には、失敗の連続という経験しか
良く効く薬は無いようだ(^_^;)
「ペッパーランチ 横浜鶴屋町店」
045-314-3628
横浜市神奈川区鶴屋町1-7-20
11:00〜24:00 定休:第1・第3日曜
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