昼食を出す寿司屋は少し悲しい。
本来、客単価が安くない料理なのに、
経営のために昼を出すから、コストダウンの固まりとなる。
(1000円以下じゃないと客に見放される)
高いネタは使えないし、ネタ数も減らすしかない。
なのに、オヤジの食欲を満たすために量は減らせないから・・・
握りだと、小振りのオニギリのようなシャリだったり、
チラシだと、安めのネタばかりのってたり・・・・となるのだ。
それでも、中華街のはずれにある寿司屋は、
油物が苦手な人達に愛されて、店内は歳のいったオヤジばかりだったりする。
「清川」
045-662-0499
横浜市中区山下町118
店舗の入口には、大きな水槽。
アワビや車海老、平目などが泳いでいてちょっと見高級店にも見えるが、
ちゃんと料金表を出しているあたりが、庶民の心を擽って人気がある。
しかし、一番高い握りのセットが5000円だから、
ここで美味い物ばかりお好みで食べたら、相当な価格になる事も理解できる。
で、結果的に夜は、満員にならない感じがしてしまう。
(事実、店前を通って覗くと、満員に見えた事は無い)
昔は、握りとチラシのランチがあったのだが、最近は手巻き5本セットと二色丼も加わった。
二色丼は、その日提示されるネタの中から2品選んで作る寿司屋らしい物で、
全て1000円(税込)で甘エビの頭が入った味噌汁が付く。
気を付けないといけないのは、握りもチラシもシャリが多い事。
チラシや2食丼は、チラシ用のお重に殆どいっぱいの量、シャリが入るので、
少食の人間にはかなり持て余すはずだ。
握りはネタが小さいのか?と悩む位のシャリで、結果的に味を落とす事に繋がっている。
ただ、そんな握りでも美味しく食べる方法はある。
それは、カウンターに座り、シャリを小さめに指定する事だ。
何故なら、握りは握りたてが一番美味いからだ。
店内は10人は座れる大きめのカウンターとテーブル席が3つあり奥には座敷も存在するが、
テーブル席でオーダーすると器に盛られた握りが出てくる事になる。
ところがカウンターで握りをオーダーすると握ったそばから出してくれるので、
作って放置された物よりはるかに美味しく食べられるワケだ。
ネタは望むべくもないが、シャリの量を小さくしてもらうとバランスが良くなり、
この値段でこの味なら・・・と納得できたりする。
足りなかったら、ちょっとだけ握りを足せばいいし、
そうやって食べるだけで贅沢した気分にもなれるから、満足度は随分違うのだ。
白いワイシャツに地味なネクタイ、皺だらけのパンツをはいたオヤジ達は、
それでも昼飯に1000円払えるクラスなのかもしれない。
しかし、どの面も生気に欠け、食事を楽しむ余裕すら持っていない。
同じ年代のオヤジでも中華街で食べてる連中は元気に溢れ、こまったオヤジぶりをプンプン匂わせて
いるから、寿司を選ぶ時点で棲み分けが出来上がっているって事なのだろう。
夜ちゃんと来て、味を確認しよう・・と思った事は何度かある。
だが、店の前でいつも気が変わった。
何故だか、店に入る気力がなくなるのだ。
ランチの味が蘇るのもあるが、
夜だけの営業ではやっていけない理由があるはずだ・・・と思ってしまうのだ。
そして、寿司屋には独特の社会が形成されているから、
その社会に受け入れられるか・・・?という不安もあったりする。
もし、凄く美味しかったら、ソレはソレでつらくなるし、
案の定・・と納得できる味だったら、料金が高い分腹が立つ。
居心地の良い環境を得るまでに投資する時間と金に見合う店か?
というのが判断基準だから、そういう意味で「ランチを出す寿司屋」には興味が薄れてしまうのだろう。
結局、夜、ちゃんと食べに行く寿司屋には、
昼、ランチを食いに行ってはいけないって事なのだろう。
もっとも寿司フリークの私にしてみれば、そんな寿司でも美味しく嬉しく頂ける。
いや、コンビニで売ってる巻き寿司セットだって楽しめるから、
カウンターで摘む寿司が1000円だったら、たまの贅沢と考えられて幸せなのだ。
しかし、安くて美味くて混んでない寿司屋って、無いものだね(^_^;)
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