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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

高級炒飯の基準

「これにて株主総会を終わらせていただきます。
 ありがとうございました・・・・」


終わった。
苦難に満ちた7年間の、区切りがついた。

完遂できなかった計画や変え損なった環境は残り、
忘れきってしまった事を思い出しながらの再スタートを切らなくてはならない。

それが心苦しいのは、事実だ。


「お疲れ様。
 これから片付け&引継モードに入るけど、
 手伝ってくれた君達と食事に行きたいんだ。」

「わ〜い! 勿論奢りですよね?」

「あ・・・あぁ」

「どうも〜」
「ご馳走様〜」


現金な笑顔も心地よく感じるのが、ちょっと不思議。

だが、これから厳しくなる環境に残さなくてはいけない部下達には、
ほんとうに申し訳なく思っている。

だから、せめてものアリガトウを伝えたかったのだ。


「今日は中華街ではステータスが高い・・・と言われている店に行こうと思うのだが」

「え・・・何処?
 そんな店ありましたっけ?」

「何処だと思う?」

「聘珍樓か萬珍樓・・・・」

「それじゃ、当たり前過ぎるだろ?」

「ですよね〜
 んじゃ、華正樓」

「渋いチョイスだけど違う。
 そんな高い所にいきなり行っても入れないよ。
 ヒントは、元映画館・・・だな」

「元、映画館???」


その昔、まだ映画が娯楽の王者として君臨していた頃、
横浜には数多くの映画館が存在していた。

伊勢佐木町の奥には、相当数の映画館が建ち並び、
ちょっと外れの町にさえ、小さめの映画館があるのは当たり前だった、と聞く。

そして横浜中華街にも、映画館は存在した。


「そう。
 昔あった映画館を、そのままレストランにしている店があるんだな。
 豪華な造りと広いホールが特徴で、映写室は個室として使用されている・・・・」

「そんな造りの店なんてあったっけ?」
「知らな〜い」

「表から見たらわからないかもね。
 大通り沿いにあるんだよ」

「へぇ・・・
 でも、どうして映画館がステータスシンボルなんですか?」

「豪華な造りでかなりの広さ。
 ちょっと前の世代が結婚する時は、必ずこの店で披露宴を行ってきた・・という歴史。
 そんな広さで披露宴ができるって事その物がステータスであり、
 いつの間にかその店のステータスも上がった・・という事なのさ。」

「だけど、本当にそんな店あったかなぁ・・・・」

「同發新館」
 045-681-8806
 横浜市中区山下町164
 11:00〜21:30(L.O.20:30)
 金土祝前11:00〜22:30(L.O.21:30)
 木曜休


「ここ?
 普通の店ですよ・・・・・・え?」
「えぇ??」

「な?
 ちょっと凄いだろ?」

「本当に結婚式場みたいだ〜
 広〜い」

「で、美味いんですか、ここ?」

「美味いゼ。
 高いけど(^_^;)」


夜は胡弓の生演奏が入る・・と聞くホールはあまりに広く、
少人数で食事をするとかえって落ち着かない。

そして昼だと言うのにランチに向く単品メニューは少なく、
この店が客を選んでいる事が自ずと知れるのだ。


「卵スープ」800円
「青菜炒め」1800円
「車海老のチリソース」3800円
「XO海鮮炒飯」2600円(1300円×2)


せっかくご馳走だから、皆で単品を食べてもつまらない。

で、後輩が絶品と言っていた「XO海鮮炒飯」を基本に、
おかずをちょっと頼んでみよう・・と思った。

単品メニューで必ず頼むのは「青菜炒め」、
そして、若者にも受け入れられるハズの「海老チリ」を入れるのは当然の帰着。

そんなつもりでオーダーしたが、
いくら車海老と言ってもちょっとばかり高価な「海老チリ」だ・・・(^_^;)


スープは、卵と野菜が入った物で、ちょっと塩がきついが美味しいと思える。

内心、これは期待できる・・・と微笑んだが、
次に出てきた「青菜炒め」の味付けがまた良かった。


「美味しいっすね〜」
「うん、美味しい〜」

「青梗菜って結構フニャフニャになりやすいけど、
火の加減がよいのかな・・・」

「なんか、ビール飲みたくなっちゃいますね」

「このまま帰っちゃってよければ飲んじゃうけどね」


え?
ちょっと待って??

次に出てきた海老チリを見て驚いた。

お〜い、これは車海老じゃないぞ!
どうみてもサイマキ位の大きさしかないじゃないか!!

揚げた雲呑の皮を散らしその上に盛られた海老チリは、
値段から想像していたのとはかけ離れた小さいサイズだったのだ。


「あれ・・・・美味い」

「ピリ辛ですけど、海老がプリプリして美味しいですねぇ」


でも、不満だ。

「珠江飯店」の海老を基準にするのは間違いとしても、
この海老はボリュームが無さ過ぎる。

最後の炒飯がこんな調子だったら、マジ怒るぞ・・・・

と思っていたら、二人分を一緒盛りした「XO海鮮炒飯」が出てきた。


「デカイッ・・・」

「うわ・・・」


思わず声が出る。

3人だから二人分でいいだろう・・と思ったのに、
明かに3人分ありそうな盛り方だ。

貝柱が多く散りばめられ、イカ、エビ、カニがふんだんに使われている。

XOと書いてあるように、味付けはXO醤を効いていて若干ピリ辛だが、
独特の香味と旨味は細切りレタスのシャキシャキ感と共に私達を魅了した。

美味い

本館の炒飯が一般の基準品なら、
新館の炒飯は高級品の基準にしても良いと思う。

しかし、ここの「XO海鮮炒飯」を基準にしたら、
高級店の中には困る店が少なからず出るのは間違いない。

しかもかなり量が多くて、一品料理を頼んだ事を後悔するような気分にも・・・

そうだ・・・
同發の炒飯って量が多かったんだ(^_^;)


結論:この店は、昼飯時に入って「XO海鮮炒飯」だけ食べるのがオススメ。

 
 
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