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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

しまいにゃ笑うゾ2

「14時21分発の三崎口行きに乗ってください」


きた・・・よ。
久々にアイツの電話だ。

時間指定となれば、間違いなく2100系の一番前だ。
で、また「紀の代」で寿司摘むつもり・・だな(^_^;)


「いつも唐突だな。
 しかし何時帰ってきたんだ?」

「ちょっと法事があって、週末はコッチだったんです。
 月曜に帰るんで、久々に先輩と会おう・・と思って」


はいはい、そうですか。
相変わらずの人生をシッカリ歩んでいるようですな・・・・

と、半ば呆れつつ横浜駅に行くと、案の定2100系の一番前の席に
ヤツはニコニコ笑いながら座っていた。


「どうだ?
 大阪は??」

「食い物、美味いっすね〜。
 でも、人間関係はちょっと難しいです〜。」

「そうなんだ。
 お前みたいな趣味人は居ない・・・のか?」

「なんか、見当たらないんです。
 そう言えば、この前の記念パスネットカード、ありがとうございます。」

「あぁ、買うの少し恥ずかしかったぜ。
 横浜駅で買いに並んでたのは小学生が5人だけだったよ」

「あれ、珍しいカードなんですけど、
 ちょうど異動が決まっちゃって大阪行ってたから頼むしか無かったんですよ。」


自分も人が良いよな・・・と思いつつ、後輩の近況を聞いていた。

そう、ヤツは突然の異動で大阪に赴任し、
今まで足を延ばしにくかった地方へ嬉々として出かけているらしい。

ここまでマニアなら当然の事で、相変わらず彼女もできないままの日々を過ごしているようだ。


「でさ・・・
 あの彼女はどうした?
 たまには連絡してるのか?」

「この前再会して、とっておきのプレゼントをしたんですよ。」

「へぇ・・・進歩だ。
 で、何を?」

「先輩に頼んだカード、彼女にも買ってもらったんですけど・・・」

「ちょっと待て。
 何だって??」

「だから、数欲しかったんで、彼女にも頼んだんです!」

「ハイハイ、それで?」

「恥ずかし・・・とか彼女にも言われましたが、大阪出張がある時持ってきてもらいました。」

「ま、そっちじゃ使えないがな」

「先輩、使っちゃったらダメなんです。
 こういうモノは。」

「やっぱ、だめ?」

「ダメです!」

「あっそ・・・
 お前に渡す前に使っちゃお・・とか思ったんだけど」

「そんな事したら、マジ泣きますよ」

「・・・はいはい・・・
 で、何をプレゼントしたんだ?」

「チタンのボルトです。」

「何?????」

「チタンのボルト・・・」


こういうヤツだったよ・・・確かに。
そんなモノ、女性が喜ぶ・・とでも思ってるのかね?


「彼女、鉄が好きなんです。」

「はぁ?」

「骨董屋に一緒に行った時、奈良時代の鉄釘が好き・・・とハマってました。」

「で、チタンのボルト・・ねぇ。
 喜んだの?」

「複雑な顔してましたね」


そりゃ、そうだろ。
骨董品としての古釘の味わいと、チタン製のボルトじゃあまりに違い過ぎる。

こんなところが憎めないところではあるが、
どう逆立ちしても彼女には縁が無さそうではある・・な。


「先輩。
 帰りも、この席でいいですか?」

「先頭が好きだよな・・・お前」

「違います。
 一番後ろの席に座りたいんです。」

「え?」

「久々の京急なんで、車掌のワザを見たいんですよ。」

「へぇ・・・・・」

「特に単線区間って凄いんですよ。
 車掌が駅の場内アナウンスまでしちゃうんです。」

「え? マイクは??」

「ワイヤレスマイクを持ったまま車掌室に入り、
 駅に着くとスイッチを入れて喋って・・・・」


ヤツは生粋の鉄道マニア。

車掌の細かい動作もすっかり覚えられる記憶力を誇る。

鉄釘が好きなら高いチタンはもっと喜ぶと決めつけられる判断力もあって、
どんな地方でも楽しみを必ず見つけられる幸せな人間だが、
何故か私と食事をする事を好むのが不思議で仕方ない・・・・(^_^;)

 
 
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