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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

粉屋重兵衛

一度良かったからと言って、ベタ褒めするのはどうだろう。

第一印象が恐ろしく良くても、付き合ってみると色々と見える事は多くある。
だから、気に入った店には何度も行くし、知り合った人とは何回か会う事になる。

どんどん惹かれていくか、どんどん嫌いになっていくか・・・

それはお互いの相性だと思うが、
今より深い関係を持とうと思ったら再会を避けてはいけないと思う。

で、元気があまりない今日は、この前見つけた饂飩屋へ行ってみる事にした。

お気に入りに入れてもいいかどうかの判断は、
一回きりの訪問ではつくわけもない。

あの時美味しい・・と感じた時間が、今回はどう再現されるか・・・

そんな疑問と期待を持って、小雨がそぼ降る横浜駅方向へ歩を進めた。


「粉屋重兵衛」
 045-323-0141
 横浜市神奈川区鶴屋町1-3
 11:50〜14:00 17:00〜23:00(LO 22:30)


日曜の夜、9時過ぎ。

店には私以外誰も客は居ず、店員も手持ち無沙汰で立ち尽くしていた。

お〜い
大丈夫かぁ?

こんなに客が居ないと、経営が行き詰まるぞ〜!!

と叫びたくなるほどの雰囲気だが、今日の目当ては決まってる。
焼き物と漬け物の味を見る事と、「きつねうどん」を食べる事なのだ。

お造りや天麩羅は素材の仕込みによって味は左右するし、
この前食べた鯛の切り身で仕込みのランクは理解出来てる。
天かすの状態で揚げ方も想像ついているので、
後は職人の腕が出る焼き物に興味が湧いているわけだ。

そして饂飩と言えば「きつね」でしょ。
この前食べた「ばかしあい」も美味しかったが、関西風だったら「きつね」・・だよね。


まずは・・・と「浦霞」の本醸造(500円)をオーダーすると
出てきた「お通し」(350円)は鯛の白子だった。

もみじおろしとポン酢で食べさせるそれは、濃厚な中にアッサリとした味わいで、
ここの料理人に腕を垣間見た気分にさせてくれる。

若干の期待を持ちつつオーダーしたのは、
「出汁巻き玉子」(700円)と「お漬け物」(500円)。

焼き方がモロに出る出汁巻きを、こんなに空いてるのに作り置きで出したら許さんぞ・・・
と思いつつ待っていると、フワッとした綺麗な出汁巻きがかなりの量で登場した。

美味い。
でも味は薄い・・・

出汁がしっかりしてるが塩は少ないので、付け合わせの大根下ろしに醤油を垂らして
一緒に食べると出汁の輪郭がハッキリとする。

ちゃんとした和食の板前が仕事している・・と解るクオリティに、
ちょっとばかり不思議な気分を覚えた。

ここまでしっかりとした料理が出て、西口価格とは言えリーズナブルな日本酒もあって、
何故、こんなに客が居ないのだろう・・・・と。


漬け物は辛い。

これだけ薄い味の出汁巻きを出す店にしては辛すぎるから、
自前で漬けてない可能性が高い。

飲み屋を兼ねようとしている店としては、ちょっと減点対象だな・・と思いつつ杯を干す。


そして待望の「きつねうどん」が出てきたが・・・・

揚げがデカ過ぎ(^_^;)

厚さ1センチはありそうな揚げは一枚、丼を覆い尽くすようにのっている。

汁はほぼ透き通ったような感じで、出汁がシッカリと効いて美味い。
前に食べた時と変わらない味は、やっぱりここのオリジナルな味だと良く解る。

揚げは甘くフワッとして美味しいが、その甘く煮た味が汁に溶け込んでかなり甘く変化した。

甘めぇ〜でも、美味め〜
甘めぇ〜・・・・やっぱり美味め〜・・・

甘過ぎ・・・だけどつい飲んでしまう汁。

ここの汁は、ちょっとばかり後を引くのだ。


適度に客が居るのなら良いのだが、
あまりに客が居なさ過ぎるので、かなり心配だ。

肴も饂飩も良いのに客が入らないのは、目立たない場所にある事が第一原因だが、
店前にあるメニュー表がこの店の実力を低く見せているのも事実。

海老天うどん980円とかが書いてあって写真まで載っていると、
饂飩をメインに売る安い店なんだ・・としか感じられなかったからだ。

久々に気に入った店なので、どうにか生き延びて欲しいが、
生き延びる為にこのクオリティを落とすようなら意味が無い。

幸いにしてカリオカの経営のようだから、当面はアンテナショップ的に扱われ
この状態で頑張ると思えるが、それにしてもねぇ・・・・・


良い物を提供しても、気付かなければ客は来ない。
上手い宣伝で客を寄せても、美味しくなければ客は退く。

横浜では本格的な部類の「エラワンタイ」の横にあるから、
そこに来た人が次は寄るだろう・・と考えているかもしれないが、それはたぶん大きな間違いだ。

何故なら、エスニック料理を目指してわざわざココまで来る人達は、
ちょっと見安めの饂飩専門店には興味を示す可能性が低いと思うからだ。
(あまりに方向性が違い過ぎる)

そんな環境で商売をする現場も大変だろうが、
できる事ならこのままのクオリティで客がもう少し入ってもらいたいもの。
(入り過ぎると嫌になるが(^_^;))

第二印象も良かった店だけに、不安が的中しないように・・と祈るばかりだ。

 
 
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