とある店先で、順番待ちをしていた。
丁寧な応対をしてくれる店員が多い店だが、
席が空いていても何故か入れてくれない。
待っている人間がイライラしても、そのペースは変わらず、
結果、苛ついて待つのを放棄する人も出る。
だが、残って並ぶ人は文句も言わない。
その店では、サービスできない状態で客を席に案内しない決まりがあるらしく、
待っている人もソレを知ってか、慌てる顔を見せないのだ。
(勿論、外にも順番待ちの椅子が有り、今の気候なら気分が悪くなる事もない)
ただ、久々に顔を出す自分としては、ちょっとだけ不可解に思う事がある。
どういう順番で並んでいるのか、後何人待てば入れそうか、
そこら辺を想像できるモノが何も無く、待つ人に対応するスタッフもいないのだ。
家系のラーメン屋だと、こんな対応はしない。
綺麗に一列に並ばし、注文取りが見事に10数人分のオーダーを覚え、
麺の茹でるタイミングを見ながらオーダーを入れ客を入れ替える。
繁盛している店ほどその捌き方が見事で、味も安定している所が面白い。
(ある時友人と並びを入れ替えてみたら、ちゃんと間違えずにオーダーを入れ、
しっかり『順番守ってね』とお願いされてしまった(爆))
しかしこれが、反町の某ラーメン屋になると、随分違う。
待たせてもオーダーは取らず、客は野ざらし状態で整理もされない。
(待つ為の椅子に座っている順番が何となく順位を理解させる位)
で、ここも、待ちきれずに苛ついて帰る人も出てきたりするのだ。
「えっと先の2名様・・・?」
順番待ちが減り、私ともう一人先客が居るのみ・・となって、
店の人がそう声をかけた・・・が、当然私は怪訝になる。
こんな野郎、知らねぇよ!と表情に出る。
と、その先客が「私です」と手をあげて、そしてその場を去った。
「ご一緒ではないんですか?」
「いいえ、私は一人です。」
「どちらへ行ってしまったのでしょう・・
一名様でしたら、もうすぐ席が空きますので、もうしばらくお待ち下さい。」
と、そこにさっきの男性が、女性を連れて戻ってきた。
へ?
彼はずっと一人で待ってたぞ・・・・
その間、この女はどこにいたんだ?
彼等の来た方を見れば、路上駐車している車の列だけ。
それより遠くへ行ってこれるほど時間は経っていない・・・・
つまり、彼が順番を待つ間、彼女は車の中で待っていたようだ。
薄いフェイクレザーのジャケットを着て、髪は色濃く茶色に染め、
派手ではないが、がっしりと化粧をしてアゴを突き出して歩く彼女。
その彼女の半歩後から付きそう彼は、どこかオドオドしながらも嬉しそうだ。
車の中で待たなければ耐えられないほど調子が悪かったら、
あんなに堂々と歩かない・・・な。
例えば妊娠中で、身体を休めていたいとしても、
ピンヒールはいてガンガン大股で歩くから、そうとは考えにくい。
席に座る所を見ていたら、彼は彼女の席を引き、
彼女は当然という顔をして座り、ちょとだけアゴを突き出して口元を緩めた。
何だか、不思議な光景だ。
他人の関係に文句を言うのはバカらしいし、
お門違いだから意味も無い。
だが、女王様のように振る舞う態度は、滑稽であり不愉快にも感じる。
これが、店中の注目を浴びるほど凄い美人だったり、
明らかに金持ち然としていたりすると見え方も違うかもしれないが、
どうみても普通の、ただの女性にしか見えないのだ。
人をアゴで使いたがるヤツってよくいるが、
そういう輩は裏で思いっ切りバカにされるのが常だ。
それが個人的関係の中において一時的に成り立っても、
上下関係の中では愛情なんて育たないから、やがて確実に破綻するだろう。
(彼が奴隷で居続けたいなら話が別だが)
人間は生まれながらにして不公平にさらされるから平等を理想とし、
実力や裏付けの無い威張りたがりは社会から排除する意識を持つものだ。
それが、彼女を見て不愉快になる理由だし、
そんな意識を勘違いした愛情で隠して付き合う彼を、哀れにも感じてしまったのだが・・・。
人のフリ見て我がフリ直せ・・・・か。
人を好きになるのは理屈じゃないが、
あんな態度の女だったら間違いなくそれっきりだな、俺の場合(爆)
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