「この前書いてた『梅蘭』へ行きたいんだけど、もう遅い・・・よね?」
そう電話をもらって時計を見ると針は21:45分を指していた。
「ラストオーダーを取る時間だから無理だね。
いつも言ってるように、こんな時間にあれこれオーダーしようと言うのは無理なんだよ」
「わかってっけどさぁ・・・・
忙しいんだからしょうがないじゃん」
「こっちも他人の事は言えた義理じゃないが」
「じゃ、別館(大珍樓)にでも行く?」
「覚えたな(^_^;)
この時間じゃ開いてる店を探す方が大変だって」
「随分褒めてたし・・・」
「でも今日は『老正興菜館』へ行こうよ」
「何故?」
「食べたい物があるんだ」
「ふぅ・・・ん」
そう、既に勘の良い人にはバレバレだが、「家常豆腐」が食べたくなったのだ。
週末の22時過ぎに食べるのはどうかと思うが、「老正興菜館」にとってはまだ序の口の時刻。
(なんたって明け方4時までやってる店)
だったら料理人が元気なうちに、梅蘭で食べた物をそこでも食べてみたいのだ。
(大珍樓別館には家常豆腐があるかどうかわからない)
「老正興菜館」
045-681-3222
横浜市中区山下町144
11:30〜28:00(LO翌3:30)無休
「だからさぁ、豆腐の炒め物が食べたいんだよ」
「どしたの?
ヘルシー志向?」
「ちょっと物差し換えてみようと思ってね」
「そういうの、好きだよね」
「普通の人じゃ頼まない定番品って、以外に難しいじゃん?
『梅蘭』も上海だから、同じ上海つながりで同じ物頼んでみたかったんだよ」
「まぁ、いいや。
美味しいよね?」
「さぁ・・・」
家常豆腐 1200円
青菜炒め 1000円
上海大雲呑 900円
海老炒飯 1000円
最初に出たのは青菜炒め。
青梗菜にニンニクのみじん切りが入ったベーシックな炒め物。
ここは若干塩が強めで、量は少な目。
でも、ちゃんとした味がキープされているのは毎回感じられる事で、
今日も野菜のシャキシャキ感が残る炒め方で、食べていてほっとできた。
続いて「上海大雲呑」と「海老炒飯」が出る。
「サワースープとは良く言ったよね。
確かに酸っぱくて、でも過ぎないで美味いね」
「ここの雲呑って、お金の形(中国の)にしてるんだな・・・・」
「あぁ、変な帽子みたいな格好の・・・」
「香港の貴金属店によくこの形の金が売ってただろ?」
「はいはい・・・確かに」
「正月は縁起を担いで、お金の形に見立てた餃子を食べるんだってよ」
「へぇ〜」
「どんどんとテーブルを叩かない事」
「へぇ〜い」
普通、青菜炒めが出て、次に豆腐が出て、最後に雲呑&炒飯だと思うのだが、
何故かどの店でも順番はいい加減に出てくる事が多い。
たぶん、調理の順番は作り手の都合のみで決められるのだろうから、
先に炒飯が出てしまっても気にしていないのだろう。
それにしても一番の目当てが最後まで出ない・・・のは何故だろう?
「この時間にしては安いよね」
「そうかな?」
「中華って高いってイメージあるじゃん。
特に10時回ったら・・・ね」
「そんなもんかい?」
「その目当ての豆腐・・・遅いよね?」
「何か、調理の順番に都合があるんだろ・・・」
「豆腐買いに行ってたりして?」
「それ・・・笑えない店、あるんだよ」
「本当?」
「ホント・・・・」(天龍菜館)
出てきた「家常豆腐」は、見た目は「梅蘭」とそっくりの物に見えた。
しかし・・・・
「アチッ!
熱いわ・・・この豆腐。」
「へぇ・・・ちょっとピリ辛で美味しいじゃん」
「厚揚げにしては・・・
え?
これ、普通の豆腐に粉をちょっとだけまぶして揚げてあるんだ・・・」
そう、「老正興菜館」では厚揚げを使わずに、
揚げ出し豆腐チックな厚揚げを自前で作っているのだ。
だから、熱い。
だから、時間がかかる・・・
「これ美味いじゃん」
「当たりだったね」
「ちょっと油が多いけど・・・
辛い感じがいいね。
そうだ、余ってる炒飯にかけてみよう・・・」
辛いソースを炒飯にかける・・・か。
そう言えば、麻婆炒飯食べてないなぁ・・・
(勿論、そんな料理はない。
麻婆豆腐と炒飯を頼んで、上にかけて食べる物を自分勝手にそう名付けただけ)
結論:「家常豆腐」は同じ上海料理店でもかなりの個性を見せたので、
新しい「物差し」としても良いらしい
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