会社のトイレへ駆け込む。
個室に先客が居るだけでガランとしている。
切羽詰まった状況を回避すべく事に及ぶ。
ホッとする瞬間。
緊張がス〜っと解けてゆく。
ブヒッ! ヒュルル・・・ブヒャリラ・・・
背後の個室から、何とも形容し難い放屁音。
喉の奥が、グッとせり上がってくる。
笑ってしまいそう・・・だが、グッと堪えた。
次の瞬間、「がはははは」と音の主が大声で笑い出した。
ダメだ・・・
無理です・・・・
結局つられて、大笑い。
一度笑い出すと止まらない・・・
腹がひくつき、涙が滲み、
小便がもれそうに可笑しい(って小用中ですが)
きっと、個室の主も笑いを堪えたのだろう。
かなり必死に・・・・
同じ会社の奴が小用に来ていたら声で誰だかバレてしまうだろうし、
後で顔を合わせるのも気恥ずかしいはず。
だが、いけないと思うと逆効果になる事がある。
笑っちゃイカンと思ったら、
余計に可笑しくなってしまったのかも知れない。
勿論、コッチも個室の主のプライドの為に耐えようとしたのだが、
吹き出すような笑い声に気が緩んでしまったのだ。
ヒーヒー言いながら笑い続ける二人。
廊下に響いたろう、苦しげな笑い声。
スイッチを押すと笑い声を出すオモチャのように聞こえ、
それがまた笑いを誘って止まらなくなる。
「失礼しました・・・・・あははは」
個室から声がかかって初めて、自分のナリを考えて少しだけ恥ずかしくなる。
前を開けっ放しで笑いこけてる自分も、傍から見たらかなり笑いを誘う姿のはず。
そう気付いてやっと笑いが収まってきたので、
個室の主が出やすいように声をかけて出た。
「お先に・・・・・ププッ」
でも・・・・
最近、腹がよじれる程笑った事って無い・・・・って気付いた。
愉快だったり幸せだったりする事はあっても、
のたうち回るほど笑う事は・・・・・無い。
いつから、
そこまで笑う事を忘れてしまったのだろう・・・・ね
|