鳩は岸壁に住む鳥だから、マンションの窓が好きらしい。
春が近付くと「つがい」の鳩が、巣作りの場所を求めてやってきて、
マンション住民とイタチゴッコのような戦いが始まるのだ。
同じ様なマンションは立ち並んでも、不思議に鳩が寄り付かない場所もある。
我が家もあまり寄ってこない建物だったのだが、
隣のマンションがずっぽり網を被るような防御に出てから、
その空しい戦いが勃発するようになった。
一時期狙われていたのは、ベランダの奥のボイラールーム。
ガス湯沸かし器が置いてあるだけの倉庫みたいな部屋だが、
昔の大型の機械が壊れて小型の機械に替わった途端に鳩が入り込むようになった。
(部屋の入り口には、丁度鳩が通れる位の隙間が空いていた)
四六時中見張っているわけにいかず、網戸ををの扉の前に貼り付けて新入を阻止した所、
ベランダに置いてあるエアコンの室外機と手摺の間に集まるようになる。
(室外機が、室内からの視線を隠してくれる)
鳩が嫌がる・・と言われる物を置いてもダメで打つ手無しだったが、
自宅に居る時はひたすら鳩を追って、ここには居辛いと教育しようと頑張った。
普段、追うと逃げる鳩が逃げない日があった。
変だな・・・と思ってベランダに出ると巣ができていて、
無理矢理蹴飛ばしたら卵を抱えている事がわかった。
やられた・・・・・
これじゃ、動かないわけだ・・・・
卵ごと巣を捨ててしまおう・・・かとも思ったが、
何だかそれも可哀想でできそうにない。
(鳩が自分でした排泄物を片付けてくれれば、いくらでも居ていいのだが)
で、諦めて雛が孵るまで休戦する事にした。
ところがある日、親鳩がいなくなってしまう・・・・
巣の中には卵が一つだけ放置されまま・・・・
そう、その卵は孵る事ができなかったのだ。
しばらく放っておいても親鳩は返って来ないので、
巣ごとゴミに出そうとした。
まるでウズラの卵のようで、食べたら美味しいのかな・・・と
ちょっと不謹慎にも思いながら、巣を取り上げると・・・
パァン!
という破裂音が響き渡った。
そして次に瞬間、もの凄い腐敗臭が襲ってきた。
そりゃそうだ。
死産だった卵は腐って放置されていただけの事。
ちょっとの刺激で破裂するほどガスが溜まっていてもおかしくない。
仏心を出して、ちょっとの間だけ場所を貸してやっても、
こんな形で返ってきたら救われない。
雛鳥がちゃんと巣立ちするまで、
親鳥の気分を味わう・・なんて勝手に考えたコッチがバカだった。
で、それ以来ベランダに来る鳩を徹底的に排除するようにしたのだが・・・・
何故かそれ以来、殆ど鳩はやってくる事が無くなった。
いや、賞味期限が迫っている玉子を使って、オムライスを作っているのだが、
賞味期限が切れて腐ったら臭いだろうな・・・と思ったら、
突然、その時に匂いが蘇っただけの事さ(爆)
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