サイト内検索
AND OR
Photo Essay
Text Essay
Desktop Gallery
Guestbook
Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

飲みすぎ

「そう言や、お前が一番尖ってて変だったよな」

「そうでしたっけ?」

「今、お前が悩んでる小僧なんて可愛いもんだよ」


そうだよなぁ・・・
誰もそばに寄って来なかったよなぁ・・・・

そう言われてみれば、どっか人間性を疑わせるように見える奴も、
奴なりの論理に従って突っ張って生きているように感じられる。


「腕はいいんだろ?」

「まぁ・・・」

「自分まで追いつめるほど技術に拘る人間は、
 得てしておかしくて人間性も欠けてるもんだよ。
 お前だってそうじゃなかったか?」

「人間性に・・・欠けてましたかね?」

「そう見えたなぁ」

「でも私は、誰に対しても偏見無く付き合いましたよ。
 誰に対しても媚びへつらう・・・なんて事はしませんでしたが。」

「お前は逃げないでぶつかるから、誰かが何かをなすりつけるのに丁度良かったんだよ。」

「奴はそんな感じじゃぁ・・・ないんですよ」


クソが付くほど真面目な部分と、徹底的に答えが出ないと納得できない性分がある私は、
若い頃、随分回りに疎まれたものだ。

基本的に退いていて、廻りの動きを阻害しないように耐え、
これ以上譲ったら仕事にならない限界に来ると絶対譲らずに仕事しただけだ・・・・が、
回りから見たら、仕事に掛かると絶対に譲らない人間にしか見えなかったはずだ。

アイツは言う事を聞かない。
アイツは譲らない。
仕事はできるけど、人間性に問題がある。

そういうレッテルが貼られたまま、何故か首にならずに今日がある。


「人間を見る時、その視点を変えないとダメだぜ。
 ソイツにとって大事なモノが何んであるか知ってても、
 それを考慮せずに自分の価値判断だけで見たら見誤る事くらい解るだろ?」

「解ってます。
 ただ、人間性がどうの・・・という声が上がる時は、
 確かにその人間は好かれないだけの理由を持っているのも知っています。
 だから・・・・困ってるんですよ。」

「でもさ、本当にその人間が最低な奴だったとしても・・だよ? 
 仕事はキッチリやって、評価は得ているんだろ?」

「そうですね」

「外部の評価をもらえるなら、それで社員として十分じゃないのか?」

「あはは・・ そう言っちゃったら、この話はオシマイです。」

「心配すんなよ。
 今、何かのトラブルがあっても、例え他の社員が全員ソッポを向いても、
 仕事の腕が一番だったら、置いておく意味はあるじゃないか」

「確かに、笑顔が素晴らしくて誰にでも好かれるのに、
 仕事はいい加減でトラブルメーカー・・・って奴よりは安心できますね」

「俺が経営者だったら、人間性に難ありと言われても腕が良ければソッチを雇うね」

「だから、未だに私とつきあっている・・・と?」

「そうかな(笑)」

「人間性に難ありって、まだ思ってるんですね?」

「そう・・・かな(爆)」


「お前は暗いんだよ!」と、上司から怒鳴られた事があった。

コッチにしてみれば、シビアな話をするしかなかったからヘラヘラ笑わなかっただけだし、
普段、社内で営業スマイルをふりまく・・・なんて嘘っぱちな態度はできもしなかっただけだ。

しかしそう言われた時、笑う事が苦手な私にとっては、やっぱり心が痛んだのも事実だ。


人間は、相手が笑顔でいてくれれば、落ち着ける。
いや・・・、笑顔で接する人間は敵ではない・・・と無意識に感じるのだ。

それが解っていても、笑顔で人に接する事なんて若い頃にはできなかった。

男は簡単に笑わないモノ。

歯を見せる事は、敵ではない・・と表現する事であり、
それは「お前とは争わない=負け」と考えていたからだ。

そんな自分が変わったのは、ろうあ者施設の担当になってからだ。

社会では手話のできない人が殆どで、その中で生きていこうと頑張っている彼等を見て、
彼等と接する時、敢えて手話を使わずにコミュニケーションを取った。

それは、何故だか解らないが、手話を使う行為は相手を
障害者として扱う行為=差別的行為に思えてならなかったからだ。

しかし彼等は、何故私が手話を使わないのか不思議に思ったらしい。
そして、私を敵対視した。


差別したくないし、一人前の社会人として扱いたい想いだけで
コミュニケーションツールを捨てるのは、私の思い上がりだ。

だから当然の反応と言っていい。

しかし私は、手話の代わりに「笑顔」を使った。
笑う事が苦手なのに、とにかく満面の笑みを浮かべるように努力した。

そして・・・・
私はいつの間にか彼等との良好な関係を築く事ができていた。


気を抜いたらヤラれる・・・・と尖っていた時代は、
それでも笑顔を振りまく相手を選んでいた。

が、付き合いがネズミ算式に増えだした頃から、そう言っていられなくなった。

仕事上でするケンカは大好きで、
良い仕事をするためだったら怒鳴り合いのケンカも辞さない。

スキあらば突っ込んでくる仕事仲間は、それに応えられない人間達にとって不愉快の対象だ。

そういう人間が、笑顔を振りまいて仕事を進める事なんて、
同僚達には絶対に想像できなかったのだろう。


「俺もワガママでさ、仕事の上では退かない方だから、
 随分お前とぶつかったよな?」

「そんな事ありましたっけ」

「またまたトボケて(笑)」

「で、やっかいな奴だと思ったでしょ?」

「あぁ。
 でも、会社の転機になるような仕事は、みんなお前と俺とのコンビだったよな」

「そうですねぇ・・・」

「会社は仲良しクラブじゃないし仕事ってそうあるべきだ・・と思ったけど、
 他の社員達はそういうの嫌いで面白くなかったよ。」

「奴も、そういう人間だ・・と?」

「俺が買ってる奴って、皆エキセントリックな奴だからさ」

「へ?」

「だろ? お前も・・・」


今、会社では笑顔は振りまいていない。
でも、ケンカを売るような事もしていない。

仕事に徹して、客観視しながら言葉を選ぶ毎日だから、
当然「暗く」見えて当たり前で、言わば確信犯と言っていい。

でも、それを口に出して言う事は、次元が違う。
主観的な言葉は偏見を感じさせるから、職場で使うべきでないのだ。

相談した内容は・・・・
やっぱりちょっと主観が入っているなぁ・・・・


久々に先輩と飲んだ酒は、
解っていても物事を主観的に見てしまう自分を確認させた。


ありがとうございます。
色々と。

でも先輩、ちょっと飲み過ぎですよ・・・・

 
 
サイト内の画像・テキスト等の無断利用・転載は禁じます。
Hisashi Wakao, a member of KENTAUROS all rights reserved. / Web design Shigeyuki Nakama
某若夢話は横浜飛天双○能を応援しています。