寒空の下、料金所先のパーキングエリアには。かなりの数のバイクがいた。
深夜11時近い時間に、自動車の駐車スペース一列を占領する位の数が揃うと、
慣れている私にも異様な風景に見える。
大声で話し、空吹かしをする者も居て、
「コッチに来るんじゃねぇ」と無言の圧力を振りまいている。
確かここは、以前2輪車新入禁止にされた場所じゃなかったか?
その理由はこういった団体に見えてしまう使い方になかったか?
勿論、コッチもバイクだった。
そして久々に正装だった。
似たような格好した連中が、ちょっとだけ意識しそして無視を決め込む。
仲間達と和気藹々と楽しんでいるのように見えるが、同じライダーとしての親近感は湧いて来ない。
ふ・・・ん
余所者扱いか・・・・
横浜でそう扱われるのは珍しいが、集団対個では当然か。
バイクが集まるだけで、異様に見える事に最大の問題があるかも知れないが、
少なくともそう見える可能性を知っていて、それをどっかで楽しんでいるような形は、
結果的に自分達の居場所を失う結果を導かないだろうか?
少なくとも、同類と思われたくない気分にさせられて、
本来の目的であったトイレ&軽食を済ませて早く出ようと考えた。
「ねぇ、今どこにいるの?」
「保土ヶ谷」
「ちょっと遠いね」
「何処に居るんだ?」
「中華街に居るんだけど、こんな時間にオススメの店って知らない?」
「俺のページ読んでりゃ解るだろ?」
「忘れちゃったからきいてるの」
「大珍でも老正興でも・・・って、歩きゃ解るでしょ。
開いてる店、少ないんだから」
「そうじゃなくって・・・食事しない?一緒に」
「案内しろ・・・と?
その店で美味しいモノを選んでくれ・・と?」
「そう」
ハイハイ解りました。
インスタントな夜食よりは、
誰かと食べる食事の方が100倍美味しいに決まってる。
このむかつく空気の中に居るよりは、
中華街で女と食事の方が1000倍素敵に決まってる。
仕方なく頭から突っ込んだバイクを駐輪スペースから引きずり出そうとすると、
私の動作を邪魔するような動きをするヤツがいた。
「どいてくれ。
バイクを出したいんだ。」
「え・・?
あっ・・・・」
「悪いけど邪魔なんだ。」
「あ・・・・スイマセン」
アタフタしてどいたのは、ぼ〜っとコッチを見ていたライダーだった。
ここに集まった一人として私を見ていたのか、珍しい背中を観察していたのかは解らない。
とにかくそこがパブリックスペースである事を理解していないようで、
通過する車両の妨害を無意識にしていて気がつく事もできていない。
似たような格好していれば仲間なのか?
車両通路を占有する共犯者としての扱いか?
100歩譲ってもし仲間に見えるとするなら、何故簡単な挨拶もできないんだ?
括られる事も、勝手に同類扱いされるのも好きじゃない。
まして見せ物になる事なんて、もっと気分が悪い事だ。
同じライダーに嫌悪感を持たせるようなパブリックスペースの使い方は、
ライダーとして考えるべき事ではないだろうか?
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