バッサリと髪を切ったら、ちょっとばかり寒い。
月曜に役員会があるからだが、いつもそれに合わせて切るようにしているから
大体3ヶ月に一回のペースで切る事になる。
「いつもこんなペースで切ってるけど、よく前切った長さを覚えているよね?」
「あぁ、それはまぁプロだから、頭見ると瞬間的に思い出すか、
切っていると手が自然に動くんだっよ。
この人の場合は、ココは必ず切ってコッチは絶対切り過ぎちゃダメとか、
場所によって髪の太さや癖が違うから切り方自体を変化させる・・・とかね。」
「何ヶ月来てなかった・・・とか解る?」
「そりゃ自分でカットしたモノだから、伸び方見ればすぐ解る。
それで前にどうやって切ったかも思い出せる。」
「バランス、悪くなってるでしょ?」
「ちょうど3ヶ月位でバランスの悪さに来る気になるでしょ?」
さすがプロだ(爆)
彼は元町に店を持つ美容師だが、去年ライダーデビューを果たした40代。
歳だから・・・とハーレーの750ccを購入したようだが、かなり古いマシンで苦労しているとか。
「キックスタートしかできないバイクで、チェンジはタンクの脇に付いてるのさ」
「それってかなり古いマシンだよね?」
「なんか珍しいバイクらしい」
「キックじゃ大変でしょ?」
「最近腰痛が出て乗ってなかったから、この前の日曜にエンジンだけかけようとしたんだけど
どう蹴ってもかからないんだよ。」
「腰痛にキックじゃ大変だよね」
「自分でそんなバイク選んじゃったから仕方ないけど」
「キックってコツなんだよ」
「だろうねぇ
『かからねぇ』ってショップに電話したら店長が来てくれて、
目の前で一発キックでかけられちゃって・・・・」
「あははは
俺なんか身体が小さいから、キックの時は飛び上がって蹴ってたよ。」
「へぇ・・・・」
「でも、そのかかりにくいヤツをアッサリかける方法がそのうち解るって。
そうなるとそのバイクは貴方の物。
自分にしかエンジンかけられないマシンって、可愛いモノさ」
「そうだよねぇ
バイクもそれぞれ癖があるから、それを見つけるのも楽しみになるんだろうね」
「女と一緒だよ」
「髪切るのも、癖のあるバイクに乗るのと一緒なんだけどね」
ふっと見ると、癖を利用したカットで仕上がった自分が、鏡の中で挨拶した。
やっぱり髪切ると童顔だ・・・・
|