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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

権力志向

「どうして男ってカッコつけたがるの?」

「着てる物とか?」

「全般的に・・・だけど、考え方でもソウだな・・・て思う」

「何故?」

「ニューヨークの友達が、イラク報道を見て『軍に入って敵を殺したい』って言うのよ」

「はぁ?
 それってカッコつけなのか?」

「アメリカ軍なんてさ、絶対安全な距離からハイテク使って攻撃する戦争しかしないでしょ?
 自分達の力を見せびらかすような脅しで、世界の警察を気取ってるのよ。
 そこに入って敵を殺したいって・・・、偉そうな顔したいだけのカッコつけでしょ?」

「愛国心から・・・という事は?」

「あははは ヤツは日本人よ。」

「グリーンカードが欲しくて志願する・・とか?」

「ないない。
 アイツの場合、例えそう思っても志願を受け付けてもらえないわ」

「?」

「だって、身長が157cmしかないのよ。」


男の場合、より強い権力を求める人間は多く、警察や軍隊に憧れる人間もまた多くいる。
だから、肩書きや看板で判断したり、姿格好で牽制したりするのは当然の事。

白バイ隊員そっくりのコスチュームでバイクに乗ったり、
ヤクザにしか見えない格好で練り歩いたり、
過激な闘争を繰り広げるチームのファッションを真似たり・・・・

だが、そんな人間はまだ可愛い。

職種によって人間を判断したり、
職位や立場を使った虐めやセクハラを行うような「権力振りかざしバカ」が多すぎる。


「NYで働いているんじゃ、結構なエリートなんだろ?」

「成績は良かったみたいだけど、異様とも言っていい権力志向で、
 なんでも仕切りたがるクセに結果はボロボロっていうヤツなのよ」

「そんなヤツと友達って・・・」

「センスがいいのよね〜」

「へぇ・・・」

「自分じゃ着ないけど、着る物の選び方は素晴らしくて相談できるし、
 食べる物も趣味がいいし、二人きりで話している限りは良い友達なのよ。」

「ふ〜ん。 じゃ、モテるタイプ?」

「全然」

「あ・・・・そ。 身長の問題? アメリカじゃそれだけ低いと厳しいかな・・・」

「身長もそうだけど、ちょっと腹の辺りが太すぎで・・・・」

「・・で?」

「顔がモロ、金正日そっくり」

「おい・・・、ソレって今、NYじゃ危なくねぇか?」

「あははは。
 まだまだそんな雰囲気は無いってさ。
 今はイラク一色で、極東の問題なんて気にしてないようよ」

「はぁ・・・」

「コンプレックスがあるのは解るとしても、ちゃんとした企業に勤めて良い給料もらって、
 白人の奥さんに子供が三人もいる幸せな生活なのに、何故『戦争へ行きたい』なんだろうね・・・」

「えっ・・・結婚してるの?」

「うん」

「白人って・・・」

「金髪だよ」

「はぁ・・・・?」

「金髪の奥さん欲しかったんだって」


そうですか・・・
ユニークなお友達をお持ちのようで・・・


「権力志向って言ったよね?」

「そう。 上へは絶対的にペコペコし、下へはムチャクチャ厳しくて、
 言葉遣いだけでも毎日文句をつける程みたいね。」

「見てきたように言うね?」

「よくグチるのよ。
 最近の若い小娘は口の利き方をしらないって」

「英語社会じゃなければ、お茶にゴミ突っ込まれるクチだな」

「ボスがオフの日に、隠れてボスの席に座るのが楽しいって言ってたし・・・」


なるほど
典型的な「虐められっ子」だ。

子供の頃、腕力で負け、少年の頃、容姿で負け、
ひたすら勉強だけに力を入れて就職し、虐められた復讐を職位を使って行うタイプかも。

暴力にも圧力にも対抗する事ができなくて、何かの看板の元でどうにか自分を保っているような奴なら、
「俺は上司だぞ!命令がきけないのか?」って会社の中で怒鳴っていそうだ・・・な。


「頭はいいのよ。
 でも、我慢ができない。
 欲しいと思ったモノは、何が何でも手に入れようとするし・・・・」

「きっと優秀な頭脳を十二分に活用して、
 今の職場と生活環境を手にしたんだろうな・・・」

「だからそれに満足して笑っていればいいのに、ねぇ・・・」

「多分そいつは、とんでもなく弱虫で臆病者だ。」

「そうなの?
 偉そうな態度よ・・・いつも」

「会社で上の方に行く人間には、二種類あるんだ。
 リーダーシップを最初から持っていてドッシリと腹が据わって奴と、
 臆病で弱虫な事をバネにして徹底的に頑張ってミスもしないような奴さ。
 で、前者は大抵のトラブルも平気な顔をしてこなすけど、
 後者は計算以外の事には対処しきれず墓穴を掘る事が多いんだよ。」

「ふ〜ん。
 じゃ、彼は後者なの?」

「そう思う。
 コンプレックスをバネにして頑張って今の地位や環境を手に入れたけど、
 その求め方が彼の中の理想・・と言うか目標というかに限定されているんだ。
 一流企業に就職し、NYで働き、白人の妻を持ち、それなりの地位を得て、
 それでも満足できずに、安全な場所から人を殺したい・・だぁ?
 そういう、人を人とも思わないような奴は、自分の弱さを隠すために虚勢を張るのさ。」

「男って、基本的にそういうとこってあるじゃん」

「そうさ。
 俺も含めて、男は基本的に弱虫だから、
 何か盾になるモノを欲しがったりするのさ。」

「攻撃敵な奴等も?」

「攻撃は最大の防御だろ?」

「そう言われれば、確かに細かい事に文句言い過ぎる上司って、
 自分の落ち度が無いように執拗に周到に裏付けをとったりするわね。」

「基本だよ。
 必要以上に理論武装するやつは、本当の強さを持ってない事の裏返しなのさ。」

「解らなくなったら、その時裏を取ればいいのにねぇ・・・」

「そのアバウトさが、弱虫には耐えられない。
 責任を持たされれば、尚更でしょ?」

「確かにそうねぇ・・・
 仕事してて上司見てると、気が小さい奴、多いわ・・・」

「女の上司も厄介だけどね」

「なんでぇ? それって偏見じゃない?」

「あのさ、基本的に気の弱い女性って存在しないんだよ。
 だからさ、間違いなく部下を持つと強く言うパターンが存在する。
 で、問題はその強く出る、出方・・・なのさ」

「?」

「何故か、ヒステリックに怒る人が多い」

「そういう人、確かに居るね。
 でも、皆が皆そうじゃないよ」

「あはは、それは知ってる。
 でも、気の強さが表に出る時は、だいたい主観的になっているだろ?
 自分中心で物事を切って叫べばどうなる?
 それが、強さの裏返しなんだよ。」

「はぁ・・・」

「男は弱虫だから、相手の痛みも想像できちゃったりするのさ。
 で、追い込む前に反省できる奴もいるし、これ以上やったら暗闇で仕返しされる・・・
 と逆の心配をして恐くなっちゃう奴もいるのさ」

「あははは。
 仕返しが恐くなる??」

「ちょっと言い過ぎだけど、そういうバランスを取るやり方の中に
 職位みたいなモノがあるんじゃないだろうか・・・ね」

「私は、相手が誰だろうと気にしないけど?」


だから、女は恐いのさ(^_^;)

 
 
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