中華街は新年一色。
昨日は中国各地の民族衣装を着た人達がパレードし、
今日は各店舗を獅子舞が訪れる。
旧暦で動く習慣があまりないコッチとしてはそのノリに今一歩ついていけないが、
異国情緒を味わうつもりで楽しむしかない。
で、こんな日食べる物は、餃子が良いのだ。
餃子は、中国の古いお金の形に似ている事から、
新年を祝って食べられる料理の一つとなっている。
本格的に祝う中国系の家では、餃子の中にお金を入れた当たり餃子を作って、
家内安全・商売繁盛の願掛けをしたりする・・・とか。
(流石に店で出す餃子にソレは無い)
食べ物の中に何かを入れる・・・というやり方は日本では受けないだろうと思うが、
ランドマークの70階にある「シリウス」では、かなりムチャクチャな事がたまに起こるらしい。
「『シリウス』って、必ず誕生日のお祝いをやるよね?」
「そうですね、今は一日2〜3回はバースデイソングを歌ってもらってます。」
「何か特別な配慮をするの?」
「予約のお客様の場合、最初から歌とケーキをオーダーいただきますね。」
「なんだか『ハードロックカフェ』みたいだね」
「あちらも多いようですね。」
「やっぱり景色の関係かな?
ここ(ロイヤルアスコット:2階・窓無)でバースデイソングは滅多に聞かないものね」
「でも、どなたかのように12時になったらシャンパンを・・というお客様は結構いらっしゃいます。」
「あはは・・・ それってまた来いって事?」
「お待ちしています。」
「あのケーキは特別製?」
「予約頂いた場合は、お名前をお入れしますが・・・・
一品モノになるのでプレッシャーなんですよ。」
「?」
「ご来店の時にいきなりケーキはないか?とお尋ねになったお客様がいて、
ケーキショップから急遽取り寄せたのですが、
スタッフが慌てて持ってきた事もあって入り口でダ〜っと・・・」
「うわ・・・悲惨だ」
「目の前でコケなくて良かったですけど・・・」
「上手の手から水がこぼれる・・・か」
「でもケーキなんてまだいいですよ」
「?」
「プロポーズのお客様が凄かったんですよ。」
「ケーキで?」
「いいえ、違います。
ピンクのドンペリにエンゲージリングを入れて出して欲しい・・・と」
「じゃ、何? 席で『ドンペリを・・・』とかオーダーすると、
彼女のグラスにリングが入ってるわけ?」
「そうです」
乾杯〜とグラスを上げて、彼女がソレに気がつく。
「何?」と怪訝そうな彼女に・・・・・
あぁ・・想像するだけで気持ち悪くなる(^_^;)
ハードロックカフェでマイク片手にプロポーズした野郎を見ても居心地悪かったのに、
煌めく横浜の夜景をバックにドンペリでサプライズプロポーズなんて・・・・
暗めの照明の店だから、間違えて飲んだりしないだろうか・・・
餃子の中の金なんて高くたって500円(入らないか(爆))
ドンペリの底に光るリングはどれくらいの物だろう・・・
なんて下世話な事さえ考えてしまう。
「で、君達はそういう場合、どうするの?」
「勿論、お客様の前ではいつもと変わらぬサービスを心掛けていますが・・・
スタッフ全員で注目しちゃいましたね」
「彼女は嬉しそうだった?」
「それなりに・・・」
バーテンダーって、大変な仕事なんだね。
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