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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

満月通信03-1

一緒に行っていた太田が死んで以来、何となく行けなくなっていた「満月ツーリング」
体調不良・・という事もあったが、感情的にも思い出しそうで避けていたのかも知れない。


「おはよ
 今日は、たしか満月だと思うんだけど、
 行くんですか?」


朝(と言うか、午前中)携帯に誘いのメールが入った。

そのメールを見た時、これは行ってもいい・・って事かも知れないと、直感した。


ライダーとしての私は、何の裏付けのない予感も大切にしている。

何故ならその「自分にしかわからない気分」を大切にしないと、
何かしら「しっぺ返し」を受けてきたからだ。

だから、この数ヶ月「満月ツーリング」には足が向かなかったのかも知れない。

不思議な事だが、何かしら行けなくなる事情が発生したり、
行ってはいけないような気分が起きたり、していたのだ。


迎えに来てくれた友人の車に、ニコンを抱えて乗り込む。
影ができる程明るい月光を浴びて、実に半年近い年月が流れている事を改めて噛みしめた。

いつもは自分が太田を乗せてきたのに、今日は友人のナビシート。
そのシートに座って流れる景色を見ていると、今日、何故こうやって向かうか・・の意味が見えてくる。

「今日は、供養だった・・・かな」と、青白い光に輝く道を見ながら呟いた。


潮騒も砂の感触も、風の匂いも変わらない。
時の流れも、変わらずに流れている。

久々に見る顔、無事を確認する時間。


ここには「誰に対しても平等」に与えられた空気がある。
それを太田は、そんな想いで感じていたのだろう・・・・


今日は、アフリカンドラマーとのセッションとなったが、
正之助の大鼓は風をはらんで舞い、その声は綺麗な合唱を見せた。


生きている意味を自ら問う時間は、意識して持たないと作りにくい。

深夜の浜辺で聴く生きた音はあまりに現実離れしているからか、
意識を日常から切り離しやすく感じている。

そしてその事が、意識せずとも「今、ここにある意味」を問うのかも知れない。

月明かりで染まった浜に、対照的な色と光を投げかける篝火を見て、
集った人々は何を想うのだろう・・・・


いつも感じる事だが、帰りの高速走行は気持ちよい。

何かに満たされて、何かに気がついて、何かを感じた後だからか、
往きの不安感とは正反対の安堵に満ちた帰り道・・・だからかは、解らない。

だが、まるで冥府の門にピンポンダッシュをかまして帰ってくるような気分になるのは毎度の事。
その気分を感じるには、それなりのスピードが欲しくなるのも相変わらずだ。


今年は、月夜の晩にひた走る事も、重ねよう。
忘れられぬ想いもまた、背負ったまま走ってみよう。

そう感じられた夜だった。

 
 
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