飲み倒した最後に食べるモノ・・・と言えば、少量のご飯物。
(お茶漬け、焼きおにぎり、雑炊などの他に茶蕎麦も気に入っている。)
バーだと最後の一品を食べる事は少ないが、食事+酒というパターンでは、
この「最後の一品」で店の評価の1/3を決めている可能性があるほど記憶に残るものだ。
で、その「最後の一品」に拘りを持つ店もまた、そんな酒飲みの心をガッチリ掴むものらしく、
気がつけば行きつけの店には特徴的な何かが存在していたから笑ってしまう。
「七福」(野毛:居酒屋)の「おにぎり」は、米を握った上に生姜が効いた味噌が塗ってある。
単純にそれだけの物なのだが、その味を伝える事は難しい。
強いて言うなら、想像以上に生姜が強い・・・と言うべきか。
味噌の味も良いのだが、生姜の爽やかな辛みや風味が、
酔った味覚をシャッキリと蘇らせ、素直に「美味い」と思えるのだ。
「纜」(反町:焼鳥屋)は、最後に「鶏スープ」を必ず出す。
じっくりと煮出したトロッとしたスープは、
「お願いだからここに中華麺を入れてくれ」と叫びたくなる程、
上等なラーメンスープに似ていて穏やかで美味しい。
と言うか、下手なラーメン屋より遙かに美味しいラーメンになるだろう。
「一里」(山下町:和風創作料理)のおつまみコースにも、最後に絶品の小丼が用意されている。
鯖を使ったお茶漬けや、和と中華が混じったような丼物が出るが、
普通はあまり使わない食材や料理法で、いつも感心させられる一品だ。
そして、酔って気持ちよくなっていても、
食事に来ていたんだ・・・と再認識させてもらえる力を感じる。
「こんなの作ったんですけど、食べません?」
「最近、日本酒に合いそう物ばっかり作るね?」
「そのうち、居酒屋のオヤジをやろうかな・・・なんて考えるんですよ」
「何故?」
「日本酒、やっぱり好きなんですよ。
一夜干し炙って日本酒なんてもう・・・・・
やっぱり、好きな酒売ってる方がいいかな・・・・ってね」
「ウィスキーは嫌いなんだ・・・ふ〜ん」
「いやぁ・・・好きなんですけど、商売難しいんで。
この間も珍しいの見つけたんですけど、売れそうもないなって思うと
コレクター魂が火の玉なって、フワ〜っとどっかに飛んでっちゃうんですよ」
相変わらず下らない会話をしながらも「ロブロイ」のマスターが勧めてくれたのは
「XO醤湯豆腐」
微妙に暖められた豆腐の上に、XO醤の具がのっているだけだが、
ピリ辛さ加減と豆腐の柔らかさが絶妙で美味い。
この微妙でしかも美味しいつまみが、彼のセンスの良さを証明しているし、
その魅力が毎晩足を向かせているのは事実だ。
「最近XO醤に凝っちゃって、何でものっけて食べてみるんですが、
これがまた妙に美味しいんではまっちゃって・・・」
「で、湯豆腐かい(笑)」
「私なんて、もう、そのまんま酒のつまみにして・・・」
まんま・・かい
それじゃ「紺屋の白袴」だ(^_^;)
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