無性に麺が食いたくなる。
この無性に○○が食いたくなす症候群は、一定期間をおいてやってくるものだが、
この間まではそれが牛肉だった。
焼肉、ステーキ、ハンバーグ、メンチカツ、カレー、果ては牛バラ定食まで・・と、
とにかく牛肉が入っていれば何でも食べたくなるのだ。
腹が空いてくると、頭の中に牛肉関連料理が浮かび、
目はそれらを扱う料理店を追い、オーバーカロリーも高エンゲル係数も抑制力と成り得ない。
で、多分それは身体が欲するのだろう・・・と欲望と財布の兼ね合いで食べまくったのだ。
そして今日は、その欲求対象が麺になったらしい。
先日の「カレー饂飩」に納得いかない私としては、
普通の蕎麦屋の「カレー饂飩」を食べようと決めていた。
が、今日は木曜。
反町の蕎麦屋は全滅の日だ。
そんな地元民の常識を忘却の彼方に投げ捨てていた事に気づいたのは、
行きつけの蕎麦屋の前だった。
ど〜する、饂飩全滅・・・・
他の麺なら何がいい?
パスタ・・・ラーメン・・・自宅で蕎麦・・・・
そうだ、ラーメンにしよう(^_^)
限りなく和風に近いスープで有名なあの店があったじゃないか。
「Shinachiku亭」
045-316-6315
横浜市神奈川区反町2-15-14
11:00〜14:30 18:00〜21:00(材料無くなり次第終了)
月・火 休
反町には元ラーメン博物館の専務が店主の「麺匠覇隆」があるが、この「Shinachiku亭」と同じ系統の味。
そしてその味の元となりそうな店は、あの 佐野 実 氏が経営する「支那そばや」なのだが、
どちらかと言えば「Shinachiku亭」の方がそれに近い。
で、「Shinachiku亭」は「支那そばや」の系列だとばかり思っていたのだが、
「麺匠覇隆」にかかっているおおきな暖簾は佐野実氏寄贈品らしい。
佐野氏はラーメン博物館でも「支那そばや」を出店している事を考えると
少しばかりきな臭くも感じるのだが、問題は両者の味が50歩100歩という事にある。
要するに、それぞれの店が色々な事情はともかく切磋琢磨してくれて、
どちらも素晴らしい味を提供してくれれば良いのだが、
どうもそこまで達していない・・・・と感じているのだ。
だから、こんな衝動に駆られた日にこそ、進化度チェックをしてみよう・・・と考えた。
店は大して混みもせず、なのに座る場所を限定されたおかげで、
オープンキッチンの店なのに何かの機材の影で厨房が見えなかった。
ワンタンメン(850円)
澄んだスープに煮くずれそうな焼豚(煮豚)。
やたらと皮が大きくて固まりになってしまっている雲呑がのっている。
スープは・・・・、前に比べれば一つの素材が目立つようなバランスの悪さは見えない。
しかし、少しばかり塩辛い。
だから飲み干す事は、できそうにない。
麺は、最初の一口は「これがラーメンの麺だなぁ・・・」と安心できる味だったが、
時間が経つにつれ普通の麺に変わっていく柔らかめの代物だ。
ワンタンは論外。
これは日頃中華街で食べている人間にとっては、比較対象外の味。
でも、トータルで言えば、行列を為す人達の神経を疑いつつも、
まともな味に進化してはいる・・・と思えた。
(それでも、やっぱり饂飩を入れたくなる魚系の味ではある)
今日の「Shinachiku亭」の客はオヤジばかり。
夜の8時前に、白ワイシャツに紺スーツのハゲオヤジ達が、
うつろな目つきでラーメンを啜っている風景は、何だか物悲しい。
650円のラーメンで貴方の晩ご飯は終了ですか?
と尋ねるワケにもいかないのだが、店内の空気は必要以上に重かった。
食事は、食べる人を幸せにできる物の一つ。
そして、日本人にとっての外食は、
値段に関わらず贅沢な行為に位置するものだ。
だから、もっともっと美味しくなって欲しい。
そして、客達の笑みで明るくなれるような店になって欲しい・・・と思う。
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