どこへ行っても入れない。
当然混んでいる店はともかく、いつもだったら閑古鳥が鳴いているような店まで、
平気で「30分待ちです」と言ってくれる。
こんな日は、反町の行きつけの店でさえ入れない・・・と決まっているから、
しばし途方に暮れつつも隙間を探して、しばし歩いた。
しかし、偶然は必然を生む。
入れそうにないな・・と想像していた「海華月其の弐」に席が空いた。
「海華月 其ノ弐」
045-412-6883
横浜市神奈川区鶴屋町 3-29-11大和ビル1F
[月〜金]朝11:30〜昼2:00,昼5:00〜深夜0:00(フード LO夜11:00,ドリンクLO夜11:30)
[土日祝]昼5:00〜深夜0:00(フードLO夜11:00,ドリンクLO夜11:30)
以前紹介した寿司バーは、一時期の閑散とした雰囲気が嘘のように混んでいる。
それもカッコ付け出し時代を迎えた若者ばっかり・・・
ま、そういう年齢層に向けて作った店だからこの状態は狙い通り・・・なんだろうけど、
居酒屋に近いノリはなぁ・・・・と感じるのは、その客単価の為せる技だろうか。(4000円/人程度)
ここでは頼む物を決めてある。
おまかせ10品 2480円
付きだし
煮穴子&茄子(煮物)
お造り
帆立&水菜(サラダ)
鴨(焼き物)
ワイン&梅
穴子の天麩羅
姫寿司
お吸い物
デザート
季節によって材料が多少変わるだけでお決まりの物になるのだが、
これで適当に腹が膨れて酒も飲めるので、いつもこれになってしまうのだ。
例によって食い物と酒のバランスが悪いのはここも同じで抜群な酒なぞ存在しない・・・・
と思っていたら今日は「十四代・斗瓶囲い」(2500円/合)があった。
珍しい事もあるもんだなぁ・・・と驚きつつ値段に退きつつ(確かにちょっと高すぎる)
生ビール(600円)の後に興味津々で頼んでみる。
さらさらとした飲み口、嫌味の無い味。
甘さはしっかりとあるが、香りは弱く、いつまで経っても飲んでいられそうな素直な味がする。
例えて言えば、凄く綺麗でちょっと見目を引くが、実は凄く細くて
抱き合えば肋骨がぶつかるような女性を思わせる。(好みの問題って事(^_^;))
へぇ〜と思いながら料理を摘みつつ飲んでいると、隣の席が入れ替わりでカップルが座った。
前座っていた二人連れはタバコを吸いながら飲み食いする連中で、
横に座った人間がタバコを吸わない事にも気がつかないから灰皿も私側。
折角の酒が不味い・・と文句言うほど高尚な店でもなく耐えていたが、
そろそろ灰皿の位置位変えろ・・・と言い出す気分になった頃帰ってくれた・・・わけだ。
正直ほっとした。
これでやっと、ゆっくり酒が味わえる・・というものだ。
「そろそろどうにかならないの?」
「ごめん・・・まだ」
「そう・・・・そうよね」
「・・・・」
「イブは?」
「空いてるよ」
「ホント? 本当に??」
「・・うん」
「期待しちゃぉ」
横のカップルが少しうるさい。
もう一ヶ月前を切ったクリスマスイブの話を切り出すには、
時期的にはちょうどいいのかも知れない。
しかし、何となく妙な空気を感じさせる二人だから、どんな奴らか・・・と眺めてみた。
紺のスーツに身を包んだ男は、私の右隣(彼女にとって左側)に座っているが、
歳の頃は20代後半といった若さをそこかしこに振りまいている。
ぐい飲みを持つ左手には、つまらない形のマリッジリング。
ワイシャツは白で、紺系のドットの入った地味なタイをしていた。
彼女は・・と言えば、白のタートルにアンサンブルのカーディガンを羽織っているが、
髪はだらしなく長いだけでメイクも投げやり。
眼鏡がキラッと輝くものの、何となく緊張感が無い雰囲気もあってか、
年齢的には30過ぎに見えてしまう。(彼との釣り合いから考えると若いのだろう)
カップルでいる時は、女性を左側に置きたい・・と思う。
それは何かが襲って来た時、利き腕である右を空けておきたい・・という事で、
男にとっては当然のマナーでもある・・・と考えている。
(襲ってくる方も右側に行くから左にいたくない・・と言った奴もいたが(^_^;))
当然カウンターに座る時も原則的には右側が好き。
(定位置がある場合はそれが優先になる→自分勝手)
だから、左側に座る男を見ると興味が沸いてしまうらしい。
夫婦でこういう店もいいよな〜
しかし、着てる物が合わない二人だなぁ・・・・
彼はつまらなそうにしながら刺身をつつき、彼女は会社のグチを喋っている。
若そうな二人がこうしてソコソコの金を取る店で楽しめるのは、共働きのせいなんだろう・・・
そう思って見ていて、ある事に気がついた。
彼女が左手を何故かカウンターの下に置き、右手だけしか使わない事に。
お行儀が良いのか・・・とも思うが、姿勢が悪いところを見るとそうじゃない。
と言う事は・・・・と勘ぐりつつ注意して見ていたら、板前が差し出すお皿を両手で受け取った。
そう、やっぱり彼女はリングをしていなかった。
男がリングを外さず、女は左手を見せないようにする仕草は、
それだけで色々な想像のタネになる。
去年もこの時期この店で見たカップルにタネをもらって書いてみたが、
今年もまた、別の物語を構築できるかもしれない。
どうでも良い事でも、肴の追加になるのがマンウォッチング。
今日もまた一つ、ご馳走様でした・・・・・と(爆)
|