「寒いよね〜」
「手、かじかんできたっす」
「これ撮ったらやめて、飯にしようよ」
「そうですね。もうペコペコっす」
「何、食いたい?」
「暖かい物がいいですね〜」
「だよね〜」
部下と一緒に夜景の撮影に出かけたが、この寒さと風。
徒歩でウロウロと歩き回れば寒さと空腹にめげてしまうのはしかたない・・・
最近、無性に肉が食べたくなる私とすれば、
暖かいシチューとかが一番なのだが、時間が悪かった。
「もうまともな店が開いてそうにないね」
「こんな時間だったとは・・・」
「しょうがないから、バーでステーキサンドでも摘む?」(あくまで肉が食いたい・・・と)
「部屋が暖かければもう・・・」
とにかく寒風の中から逃げ出したかった二人は、飲食店の並ぶビルに飛び込んだのだが、
21時を過ぎていたせいか開いている店は少なく見えた。
しかし・・・
一軒だけ気になる店がまだ開いている・・・ように見える。
「あのさぁ・・・ おもいっきり油っこいけど、『カツ』なんて食べる気ない?」
「いいですねぇ」
はい!決まり!!
その声を聞いた瞬間、営業中の札を横目で確認しつつ店に飛び込んだ。
何が何でも、豚カツを食うのだ〜!!!
「和幸ランドマーク店」
045-222-5124
横浜市西区みなとみらい2−2
11:00〜22:00
昔、豚カツを食べると言えば必ず「勝烈庵」を目指した。
特に本店は、美味しいご飯と本店ならではカツが味わえるから、
時間さえ許せば必ずそこへ向かった。
しかし、ある時を境にその習慣は崩れる。
それは「バブルの崩壊」による価格崩壊の嵐が吹き荒れた後、
飲食業業界が生き残りをかけて強引なコストダウンに走った頃の事だった。
肉の味が薄い。
もっと悪く言えば、水っぽい。
1000円を超える定食を食べている・・とは言い難い味。
それは支店で食べた時の事だったが、信じられずに本店で食べてみても
程度の違いこそあれ、その値段を考えれば食べるに値しない・・とさえ思えた。
そんな頃、チェーン店である和幸を知ったのだ。
カツは、衣がカリッとして、肉はジューシーで、
キャペツはたっぷりでご飯が美味しくあって欲しいもの。
それをとりあえず全て許容範囲で揃えてくれる上に、値段がリーズナブルだった。
美味くて安い・・・・
なんと魅力的な事だろうか・・・・
以来、豚カツが食いたくなると何となく「和幸」の看板を探すようになっていた。
実は今日も、「和幸」の看板を見た瞬間、
気になって・・・というより食べたくて仕方なくなっていたのだ(爆)
で、勿論食べたいモード全開の時は「ロースカツ」。
脂が多かろうが、後でもたれようが知ったこっちゃない。
久々に食べた〜という気分になるためには、上品なヒレでは役不足なのだ。
「すいませ〜ん、生ビールとゴボウサラダとロース定食を・・・・」
冷え切った身体に冷えたビールってのも何だけど、この時点ですでに意識は飛んでいる。
が〜っと飲んで、ツマミにゴボウサラダをカジっているうちに、
揚げたてのカリカリの衣を纏った肉汁溢れるロースが出てくるのだ。
キャベツにソースをかけて食べても、
衣にソースを染み込ませてカリカリが残っているウチに噛みしめるのも、
ちょっと味が濃い・・・とビールで喉を潤すのも、
肉体労働の後には有り難すぎる時間を演出するのに必要な事。
それが、トンカツ定食を食べるって事だ・・・と一人納得しながら味わった。
広島で食べた「牛ひれカツ」は美味かった。
高温の油で数十秒揚げるだけのそれは、
カリッとした衣の中からレアのヒレが出てくる優れもの。
その素晴らしさは、私のカツ食歴の中でもトップ3に入る美味しさなのだが、
腹ペコでかつ久々に食べるロースカツには太刀打ちできないものかも知れない。
(空腹は最大の調味料って言うしね(^_^;))
食べ物の美味しさ・・・とは、脂によってかなり左右される・・と思う。
脂抜きダイエットなんて痩身法があるが、そのモデル食を食べてみると味気なく美味しくない。
自分でも脂の少な目な食事を選んで食べると、やっぱり美味しくない事に気付けるからそう確信している。
だから、脂身だらけのロースを油で揚げたカツなんてデブの元だと解っていても、
その脂の美味しさに負けて食べたくなってしまうのだろう・・・・。
久々のロースカツは、実に美味しかった。
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