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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

亀の会通信

「今日は、年に一回しか入荷しない凄いのがありますよ〜」

「・・・もしかして??」

「ちょっとコレを見てくださいね」


四合瓶が3本、冷蔵庫の中から登場した。

〆張鶴 金ラベル 大吟醸
黒龍「しずく」
黒龍「石田屋」

おいおいおい・・・・
「金ラベル」や「しずく」は見る可能性は有るが「石田屋」の現物は初めて見た。
(ディスプレイされた空瓶なら何度かあるけどね)

どっちも好きな酒だし、どっちも滅多に見れない大吟醸。
そして幻の・・と言いたくなるような「石田屋」とくれば、本来の目的である「亀の翁」も霞みそうだ(^_^;)

そこで今日は、「亀の会」ならぬ「利き酒会」に急遽変更・・・と相成った(爆)

〆張鶴(金)980円
しずく 1200円
亀の翁 1500円

これを塩をメインとした肴で楽しんでみる。
(どれも150cc入らないかも知れないグラスでのサーブ。
 石田屋はボトル売りなので今日は断念した)

かなり贅沢だ・・・と思える三種の酒だが、
全てが口開けである事はさらなる期待も与えてくれる。


「〆張鶴(金)」は、日本酒らしい味と吟香が香る佳作。
20代後半の一通り世間を知って男を転がせるような良い女をイメージさせる素晴らしさがあった。

「いやぁ・・・日本酒だなぁ・・・・」と参加者一同が溜息をつく。

続いて「黒龍・しずく」を試してみると・・・・・声を無くした。

〆張鶴をさらに磨いて爽やかにしたような上品さ。
比べれば水っぽく感じそうなのに、決して水っぽいわけではなく、しっかりとした芯がある。

30を迎えて確固たる生き方を知った、だけど無粋な程の頑なさなど微塵も無い、
誰もが振り向いてしまうような魅力と逆らえないような美しさを持った女性、という感じがする。

こりゃ・・・どっちを選べ、と言われたら、夜も眠れないかもなぁ・・・・


しばし、その美味さに浸っていて面白い事に気がついた。
「しずく」が随分変化しているのだ。

あまりに素っ気ない程の素直さがあった最初の飲み口とは違い、
しっかりとした味と甘さ、そして日本酒独特の香りがより強く開いている。

職場では近寄り難い美しさを振りまく彼女が、付き合ってみたらメチャクチャ優しくて素敵だった・・・
というような変化なのだ。


こうなったらいつもの「亀の翁」を飲んでみるしかない。
素っ気なさの中に見せる味の気持ちよさは「亀の翁」も一緒。
一つの基準点として確認してみないと、先の二杯が明確に位置づけできそうにないのだ。

懐かしい・・・・

まるで、10年も一緒に暮らしている女しか持てない「安心」と「充足」を感じられる。
しかし・・・・
味の深みは前者の方、特に「しずく」には勝てない・・・とも思う。

この3杯を飲んでもう一回飲みたくなる物が、
今日一番美味しいと感じる酒だろう・・・と思いながら、ゆっくり酒を楽しんでみた。


日本酒、特に良いクラスの物は、口を開けてからの変化が早く大きい。
だから口開けの状態が一番美味しいと思うし、それが飲みたいために一瓶買いをする事も多い。

ただ、その変化の過程でさらに美味しいと感じられる事があるんだ・・・
と気付けた事は、日本酒の面白さを倍増させてくれた。

何て贅沢な夜だろう・・・・と思いながら、「亀の翁」を飲んでいてもう一回驚いた。
飲んだ後の酔い方の気持ちよさは、やっぱり「亀の翁」が一番だ・・・と感じたのだ。


お前ら、面白すぎる!
そして美味しすぎる!!

三人も味見しておいて、誰を選ぶの〜?
と言われているように感じ、もう一杯だけその答えを出すためにオーダーした。


さて、ここで問題です。
私は、どれを「最後の酒」に選んだと思いますか?

 
 
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