今年のボジョレーヌーボーは・・・軽くて飲みやすく、そして少し酸味があった。
気がつけば毎年、ヌーヴォーは飲んでいる。
そしてその年のワインの傾向を、ちょっとだけ予測してみたり・・もしている。
酒があまり強くない私が、最初にハマった酒はワイン。
それも、ドイツワイン全盛期の事だった。
サントリーのシャトーリオンというワインには、
当時5000円を超える醸造年と葡萄品種を明記したスペシャル物が存在した。
ワインなんて悪酔いするだけの美味しくない物・・・
といった既成概念でしかワインを捉えられないでいた私にとって、5000円というプライスは論外の値段。
勿論、有名なシャトー物に比べれば安いモノだが、
一本を4人で飲めばグラス一杯ずつで終わってしまうのに・・・
と全員が悩んだのだが、好奇心には勝てなかった(^_^;)
安っぽいワインが持っている独特のアルコールの匂いは感じられず、
葡萄そのものの味が豊に広がって、甘さと酸味が上手にバランスされている。
全員が「美味い・・・」と呟いた後、無言になったのは当然の事だった。
当時のワインは酒税の問題もあって非常に高価で、フランスワインに至っては今1000円もしないような物が
軒並み2000円以上の値をつけていたように覚えている。
そんな事情の中、値段と味のバランスが取れていたのはドイツワインで、
ジュースのような飲み易さと表示より薄いアルコールは、財布の問題以外でもフレンドリーだった。
醸造年とランク、製造業者と生産地、それらを覚えつつ飲むのは知識欲と食欲を満たす。
そして数々のドイツワインを飲みまくってしまうのは、現在のモルト馬鹿と同じ状態だった。
(と言うか、そういう楽しみ方で見れば、ワインとモルトは似ていると思う)
シュタインベルガー、ハッテンハイマー、ホーホハイマー、ピースポーター、カッツェ・・・
もう、ひたすらドイツワイン一辺倒となったのは、国産よりコストパフォーマンスが良かったからに他ならない。
「ヌーヴォーを樽で入れるんですけど買いませんか?」と声をかけたのは、
いつもワインしか買わない私と趣味があって家族ぐるみでの交流がある酒屋だった。
樽・・・って、どんな大きさだよ? とは思ったが、一番小さいサイズでもかなりの本数が取れるのだとか。
エールフランスのステッカーのついた正規輸入品と聞けば、興味がわいてくる。
そしてその年、初めてのボジョレー、初めてのブルゴーニュワインを飲む事になった。
当時で3000円。
ドイツワインでまともなモノが2本買える値段。
で、飲んでみれば、
赤らしい渋みが感じられる大して美味しくないワイン・・だとしか思えなかった。
以来、縁起物・・・といった感じで味見する程度だったのだが、
ある時ルイジャドー社のボジョレーヌーボーに出会ってその概念はコロッと変わった。
確か1998年だったと思うが、毎年の縁起物として買いに行った店にソレとボトルをロウ付け封印した物と、
有機栽培した葡萄のみで作られた物が3種お薦めで並んでいたので、興味半分で買ってきた事があった。
家に帰って一番ありがたく無さそうなルイジャドーを飲んだ時、その格の違う味に驚いた。
美味い!
スムーズで渋みが薄く、タンニンが感じられ、バランスが良い・・・
と言うか、ボジョレーのイメージが変わってしまう程の素晴らしさ。
「ムーラン・ナ・バン」辺りの上級ボジョレーに近い美味さ・・と言えば良いか・・・。
なんじゃ?こりゃ・・・と思いつつ興味半分で他の2本を飲んでみるものの、
値段の差程度の美味さしか感じられず、最初のショックの大きさを追体験する事となった。
赤ワインを初めて美味しい物・・として認識したのは「ロマネ・サン・ビバン」だったが、
ボジョレーヌーボーも美味しいと認識したのはルイジャドー社のプリムール(新酒)。
両者は、比べるべくもない味の差はあるにしろ、
私の赤ワインに対する既成概念を破るだけのインパクトを持っていたのだ。
今年のルイジャドーはまだ飲んでいない。
サントリーの卸すデュビュッフ社のヌーボーを今日飲んだが、
軽くてスムーズで少し酸味がある味になっている。
(このメーカーの物は美味しくないが、サントリーの力関係でどうしても飲まされてしまう物)
えぐみ等が取りきれないデュビュッフ社の物でこれだけ飲みやすければ、ルイジャドー物は期待できる。
残っているウチに買いに行かねばなるまい・・・・(^_^;)
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