9000回転を超えるとオートマになる・・・・
それが私のバイクに起きた状態だった。
とうとう・・・・
そう、とうとうクラッチが滑ってしまった・・・というのが感想だ。
最高速が伸びない為に、加速を捨てるギヤ比変更をしたのだが、その頃からすでに兆候はあった。
ほぼ新品状態のエンジンはすこぶる調子が良くナラシ運転の後の全開は実にワパフルだったが、
その分、発進時に負担のかかりすぎるギヤ比は、クアッチを痛めつけてしまったのだろう・・・。
エアフィルターをK&Nに変更しキャブ調して今回のリビルドは終了するはずだったが、
強制的に強化クラッチを組む事になろう・・とは(^_^;)
「こんなの着けない?」とショップで見せられたGIVIのビキニカウルも同時に装着する事になり、
結局昨日の琵琶湖には間に合わない・・・という結果になった・・・と(;_;)
「あのさぁ・・・、キャブのクリーナー変えてさぁ・・・
インダクションボックス外しちゃったらさぁ・・・・
変なホースが一本あるんだよ・・・」
「どれどれ・・・あぁこれかぁ・・・ ブローバイのホースだな」
「どうすればいい?」
「そのまんまで大丈夫だと思う・・・
でも、たまにオイル吹くかも知れない・・・」
「じゃ、エンジンルームが油だらけになっちゃうじゃん」
「そうだねぇ・・・
レースの場合は、そのオイルを撒き散らさないように『オイルキャッチタンク』を
装着しないと車検が通らないんだけど、エンジンノーマルだろ?」
「エアクリーナーは交換したし、プラグもイグナイターも交換だし・・・」
「だから、ノーマルだろ?」
「プラグコードもマフラーも・・・」
「エンジンやってないって事を、ノ・オ・マ・ル・・・って言ってるの!」
「・・・・」
「だから、大してオイルなんて吹かないから、エンジンルームがオイルだらけになるって心配なら、
長いホースに付け替えて地面に落ちるようにすれば?」
「オイルキャッチタンクってカッコイイね・・」
「アルミの板切り貼って作った、どうでもいい箱だぜ?
それに何万も金払うの? それ着けたからってパワー出るわけじゃないんだぜ??」
「そうだよ・・・なぁ
要はオイルが吹きこぼれなきゃいいんだよなぁ・・・
何か考えよう・・・」
ソイツは、純正のソレクッス(昔の車にはソレックスやウェーバーなんてキャブが付いてた)に、
スポンジと金網でできた高能率のエアクリーナーを装着したのだが、そっから先の処理の事は知らなかった。
当然エアのバランスは狂うため、ジェットのセッティングは必至。
そしてブローバイのパイプなどインダクションボックスに直結していたホース類の処理も必要なのに、
そこら辺の知識は皆無だっただけじゃなく、その必要性も理解していなかった。
何か考えよう・・・というフレーズに一抹の不安を覚えながらその日は別れたが、
後日、なかなか笑える事態が引き起こされた。
「あの・・さぁ・・・
ちょっと見てくんない?」
「わははははは・・・・」
「そんなに笑うなよ・・・ コレでも一生懸命考えたんだけどさぁ・・・
どうしてもこうなって、すぐ外れてオイルが出ちゃうんだよ」
彼のブローバイガスのホースの先には、食器洗い用の洗剤の容器がついていたのだ。
「何でこんなもん付けたんだよ?」
「オイルをキャッチできればいいんだろ?
レース用のパーツは凄っげぇ高いから、台所にあったコレでいいかな・・・と。
ちょうどパイプが入ったしさ・・・・」
「で、潰れて外れてオイルだらけ・・・かい
って、当ったり前だよ。
ブローバイは空気が出入りできるようにしとかないとダメなんだよ
ピッタリはめてテープで止めたりするから・・・」
「じゃぁさぁ・・・、結局高っけぇタンク買わなくちゃだめなのな?」
「要は、空気の出入りができて、オイルが飛び散らなければいいんだよ・・・」
「よしわかった!こうしてやる!!」
いきなり彼は、工具箱の中から大型カッターを取りだし、洗剤の容器に穴を空けた。
なるほど・・・コレならどうにかなるかもしれない・・・・
(実際、どうにかなったのだ(爆))
それはもう20年以上も前の話。
排ガス規制が始まった頃の中古車には、とんでもないキャブが付いた車が多くあった頃、
例えばこんな試行錯誤が氾濫するカーライフは当たり前だった。
私のバイクも、エアクリーナーボックスを外した事で、色々な問題が生じてしまった。
1.バッテリーの押さえが無い。
2.フェンダー代わりの板状のモノが必要だ。
3.オイルキャッチタンクもしくはブローバイホースへつけるフィルターが必要となる。
4.ジェットの変更、及びフル調整も・・・・
1.はステーを製作してもらう事で解決できそうだが2.はゴム板を張って対応、
そして問題の3.を考える時、昔の友達のバカなオイルキャッチタンクの事を思い出したのだ(^_^;)
オイルにも耐えるプラスチック容器を仕込む事も考えたが、最近は手頃なフィルターが存在する。
今回はソレで対応する予定だが、ついでにパーツカタログを見て驚く事が随分あった。
2.のために使うインナーフェンダー等、かなりのパーツが存在し、
しかもかなり高価な設定がされているのだ。
こりゃ、凝りだして綺麗に作ったら、いくら金があっても足りないわけだ・・・
バイクは、走って何んぼ。
気持ちよく走れれば、そんなに無駄な金をかける必要なんてない。
しかし、飾ったり性能を向上させる改造は、その行為だけで楽しく、
自分だけのバイクを持つ優越感もくすぐってくれるもの。
随分高価な趣味となってきたバイクだが、成熟しつつあるモータリゼーションを考えると
それは当然の帰結と言っても過言ではない。
そろそろ日本のメーカーも、若干高価でも色々と楽しめるバイクを造ろうって気に
なってくれないかな・・・と思うのだが。
|