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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

壁の会通信10月号

久々に正規メンバー3名が集合した壁の会。
それは、久々に壁が出来上がる日でもあった。

それに加えて、掲示板参加者等のビジターもいるので、最終的には7名となったこの会は、
入れ替わりがあったとしても非常識スレスレのカウンター半分独占状態で進行した。

今回の目玉は、以前紹介した「グレンモレンジ21年・ソーテルヌウッドフィニッシュ」

以前紹介した事もあって、「どんな味?」という興味はメチャクチャに膨れあがっている各員。
「シリウス」で喉を潤した後はもう・・・コレしかないでしょ、と全員にふるまった。

口を開けてからしばらく経ったモルトは、殆どが味の変化を見せるモノ。
その個人的常識に従うかのように、このモルトも、最初から少しばかりパンチを見せてくれた。(何せ46%)

柑橘系の味が最初から有り、モレンジらしい甘い香りは弱く、香りは少しビニールっぽい刺激を伴った。

しかしコレは、まだ目が覚めても布団から出られないような状態だから、
起きあがって走り出すまでにはもう10分以上の時間を必要とするだろう。


毎回思うのは、長い年月をかけて熟成された物は、
時間をかける事によって複雑な変化をみせる・・という事。

この面白さと美味しさに惹かれているのだが、これは人間を見る目と似ている・・とも思う。

取っつき安さ、優しげな物腰、協調性やそつの無さ・・・

それらは一見素晴らしく見えるしまた優秀にも見えるが、
その奥にある本来の性格や能力を見極めるためにはあまり役には立たない。

サラッと上辺だけで付き合うにはその方が良く、楽で、面倒が無いが、
仕事をする上で大事なのは能力であり、前へ進めようとする意志の力であったりする。


今飲んでいる酒は、育て方を計画しじっくり育て上げた20才であり、
いわば英才教育された優等生ならではの、素晴らしい能力を十二分に発揮されたモノである。

選び抜かれたエリートではなくとも、予想通りに出来上がりとなるのは作り手の力だが、
それが「ウィスキーじゃない・・」というセリフを生んでいるワケで・・・・

で、続いて飲むのに、「グレンモレンジ21年 1980 カスクストレングス」を選んでみる。

こっちは数あるカスクの中から特に優秀な3つ樽をヴァッティングし、
カスクストレングスのまま瓶詰めした「エリート」である。

普通の教育を受けながら、卓越した能力を発揮したモノであるから、
モレンジというモルトの底力が溢れきった酒になっているのだ。

英才教育を施したモノと、普通教育の中から出てきた秀才を比べるのもまた、一興か(^_^;)


一口飲んで気付くのは、違うモノだ、という事。

同じ蒸留酒が、ここまで違う育ち方ができるのか・・・と思う程の違い。

そしてどちらも美味しくできあがっているが、やっぱりモレンジというモルトを飲むとすれば、
後者が圧倒的である事もよくわかる。


特殊教育をされ専門職として伸びる人間と、基本的な能力が高く何をやっても並以上にできてしまう人間。
その2種類の人間に甲乙をつけるのは表面上難しいが、応用力という事を考えると凄いのは後者。
そして無意識に恐れられるのも後者・・・となるのは、同意がいただけるだろう。

何をやっても普通な人は、そんなヤツを越すためには凄い努力が必要となるが、
その努力をした分だけ、やっぱり能力は増えていくもの。
だから、長期間の熟成に耐える酒は、一つの事を極めよう頑張る職人に似ている・・・と思うのだ。

それは普通のモレンジ18年の素晴らしさを味わえば良くわかる。

意地でも極めようと修行を続ける普通の人間が、立派な職人として一本立ちしたようなモルト。
その普通さと素晴らしさは、スペシャルなモルトとは違う落ち着きと、らしい美味しさで感じられる。

そしてそれも、前の2つのモルトに負けないモノを感じさせてくれるのだ。


バランスよく、見栄えだけが良いブレンデッドウィスキーのような人間が多い中、
普通のモレンジ18年のように当たり前に素晴らしい人間も少なくなった。

いや、自己を磨き続けるような人間が、少なくなってしまった・・と言うべきか?

人生は競争ではないが、生き方は自らの中に「良し・悪し」を感じるもの。

「苦・楽」を生き方の秤とする人間を残念ながら尊敬できないのは、
私が「その人の生き方」を判断基準としているからだ。

誰にでもできる事でも、ソレを長く続ける事は誰にもできる事ではない。

だから、モルトも古い方が好き・・・というワケではないんだけどね(爆)

 
 
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