仕事につまって時計をみると21時45分だった。
そうだ・・・久しぶりに「児回り」にでもでるか・・・・と思いつく。
気分転換が必要なほどアイデアが出てこない状態の私は、
とにかく会社の中にだけは居たくなかった。
*児回り:毎日22時、旧ケンタウロス前から出発。
中区近辺を道交法を守って30分ほど走るミニツーリング
PCの電源を落として、ヘルメットを掴んで駆け下りる。
夜風は適度に冷たく、煮詰まった頭を冷やすには丁度良い風が吹いていた。
「どうも〜」
「う〜す」
「今日はバイクなんですね」
「やっと晴れたしね」
「もうお帰りですか?」
「いや、たまには参加しようか・・・と」
ヘルメットの奥から笑顔を返したのは、児回りリーダーの玉川君だ。
こうして、10数年ぶりの児回りツーリングが始まった。
私のバイクは最高速を伸ばすためにギヤ比を変えてある。
そのため得意とする速度域は40マイル辺り以上となっている。
が、この「児回り」は道交法を遵守して走るツーリング。
・・となれば最高速20キロ・・なんて所も走らなくてはならない・・・
だから、ギヤのセレクトがかなり難しいだろうなぁ・・・と感じていた。
しかし走り出してみると、何故か随分走りやすい。
前は普通のギヤ比でも苦労したんだけどなぁ・・・
って言うか〜、玉ちゃんそんなに出していいのかい?
あれ〜・・・・ここ60??
答えは、簡単な事だった。
昔に比べて、制限速度が高くなっていたのだ。
以前はひたすら耐える運転しかできなかったのだが、これならそこまで辛くない。
千鳥を組んでゆっくり走ると、また違った風景が見えるのが面白い・・・。
過去にこのツーリングに出た時は、タクシーの嫌がらせに随分出会った。
40キロ道路を40キロで走っていると、悪質な幅寄せを喰らったりする現実に、
敢えて道交法遵守の走行は意味がある・・・と納得したものだった。
しかし今日は、そんなそぶりを見せる者は見当たらない。
だから、交通環境は幾分か、昔より改善された・・・と言っても良いのだろう。
最近のヨコハマは、匂いの変化があまり無い。
今日、走りながら特にそう感じた。
緑の少なさが一つの原因なのか、こっちの鼻がバカになってきたのか・・・
五感をフルに使って走るのだから、逆にその刺激が無いと不安になる。
不安・・とまでは感じなくとも、季節や場所を匂いで感じられないのはつまらない事だ。
30数分のミニツーリングを終え仕事に戻ると、進まなかった企画書はすんなり消化できた。
ギリギリの状態に身を置く事が好きではあるが、単に緊張を強いられる事が目的ではない。
ライディングは他の事を考えられないレベルでの集中が求められても、心は穏やかでありたいモノ。
それができた時(精神的バランスの取れた状態)が心地良いと知っていて、
普段の仕事の中ではそこまでのバランスが得られないと知っているから、
バイクに乗る行為が止められない・・・のだろう。
今日は、そんな集中とリラックスが混在する気持良いライディングが、楽しめた。
町中を100マイル近くですっ飛ぶ興奮もいいが、その時だってバランスは取っていて、
ゆっくり走る時も、そのバランスの上に成り立っている。
(命捨ててまでスピードに拘るわけじゃない)
でも、スピードも必要なのさ・・・・とばかりに
帰路を全開で走ったら・・・・・
クラッチ滑った(;_;)
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