明日から中華料理漬けだから・・・と和食の店を探しだしたのは、21時30分を遙かに過ぎた頃だった。
いつもながらにこんな時間・・・か
真っ当な料理店が閉まりだす時間だから、
飲み屋系の味の良いところを探さなくてはいけないじゃんか・・・
中華料理以外だったら何でも・・・とも思うのだが、
行きつけのイタリアンは満席で、ファミレスでは淋しすぎる・・・と
ワガママな腹の虫が叫んでいた。
約束していた友達と会って相談したところ、それなら・・・と連れていかれたのが、
「茅ヶ崎 海ぶね 伊勢佐木町店」
045-260-9531
横浜市中区伊勢佐木町1-3-2
11:30〜14:00
17:00〜23:00
無休
伊勢佐木町の大通り沿い・・と言うか、伊勢佐木町に関内駅方向から入ってすぐ右がこの店。
入り口はどっかで見たような海辺にありがちな店をうまくコピーした感じだが、入ってビックリ。
100人以上は入れそうなサイズなのに、座る場所が無さそうな程客が入っている。
お〜い、ここって若者向け大衆居酒屋じゃないの〜?
大丈夫〜?
まともな飯って食えるんかい?
と思うが、舌が肥えている奴の紹介では、信用するしかない。
ごついテーブルについてメニューを開くとこんな感じだった・・・・
海ぶね名物!釜出し玉子焼き 450円
海ぶね特製!できたて 塩から 450円
湘南名物!たたみいわし 650円
特製!海老のしんじょ揚げ 680円
あつあつ特上!さつまあげ 550円
釜あげしらすのサラダ風 680円
漁師さんのつまみ寿司 980円
島のおばあちゃんに教わったどっこい島寿司 950円
地魚のお寿司盛り合わせ 1,280円
釜あげしらす茶漬け 580円
生のりのみそ汁 450円
鮮魚のおさしみ盛り合わせ 1,800円
・
・
・
値段を見て、不安は増す。
若者だらけの店内はやかましく、落ち着いて食事・・という気分には程遠い。
しかし、客は殆どがサラリーマンで、ガラは悪くはない。
取り敢えず、「生ビール」(480円)を頼んでからつまみに「鰺の刺身」「かき揚げ」「サラダ」を頼み
食事に「シラス丼」と「漁師の漬け丼」「生ノリの味噌汁」を頼んでみた。
参った
参りました
美味しいじゃん・・・
「鰺の刺身」は青魚だから鮮度が良いものしか出せないはず・・と頼んだのだが、思いっ切り当たり(^_^)
「漬け丼」はこれでもか・・というほど刺身がのり、「シラス丼」は懐かしい釜あげシラスがのっている。
そして「生ノリの味噌汁」は丼のような大きな器にたっぷり・・・といった感じだ。
捨てたもんじゃないな・・・と嬉しくなる。
チェーン店にありがちな手抜きはあまり見えず、忙しさの中で「かき揚げ」だけが忘れられただけで、
まぁまぁのサービスに満腹&満足となる。
「なんでこんな不便な所に住んでんだよ?」
「海、好きだからさぁ・・・
海の傍に住みたかったんだよ」
「お前の所へ行くには、ちょっとしたツーリングになっちゃうじゃん」
「大げさだよ(^_^)
20分もかからずに走ってくるんでしょ?」
「夜だったらそうかも知れないけど、昼間は無理だぜ。 特に134号線は・・」
昔、太田は浜見平に住んでいた。
たまにチャプチャプする程度だがサーフィンもやる彼は、いつも海に憧れていたから、
公団が当たって浜見平団地に入居が決まった時の喜びようは、凄いものだった。
その浜見平団地の傍にあった「えぼし」は「生シラス」を売りにしている浜料理店で、
「刺身」関係は当然の如く充実し「マグロの血合ニンニクステーキ」や「鰺のネギマ焼き」なんて
ちょっと捻った和風創作料理も出す、隠れた名店でもあった。
「俺、魚、あんまり好きじゃないんだよね・・」
「絶対、美味しいから、行こうよ〜」
「食える物あるかな・・・」
「大丈夫だって・・・ね?・・ね?・・行こう?」
背中を押されて向かった「えぼし」は、ほったて小屋のような外観とは裏腹に、
なんとなく居心地の良い空間を演出してあった。
きけば「漁師の網元の家をイメージした」との事。
太田がこんな店を・・・と思ったが、魚が好きで味には私よりうるさい彼が薦めるのだ。
きっと外れないはずだ・・・と思って食べてみると、どの料理も素晴らしい物だった。
海沿いから少し入った店だから地元の客の方が多かったが隠れ家的な使い方にはピッタリのはず。
でも、魚よりは肉・・という年代だった私は、太田の所に行った時だけ寄る・・・という使い方だった。
そこで食べたシラスの味が、この「海ぶね」のシラスにも通じる部分がある。
シラスの味によって昔の風景が蘇り、それが懐かしさを伴って時の流れを感じさせる。
太田と行ったあの店は、まだ存在しているのだろうか・・・・
「ここのシラス丼は大好きで、昼飯にわざわざ食べに来る事もあるんだよ」
「ランチやってるんだ・・・?」
「このボリュームだから850円でも惜しくない・・・」
この味でそれなら、悪くない。
良い店なんだな・・・と思う。
蘇った味は再確認の走りを要求し、蘇った記憶は欠け落ちた心の形を認識させるが、
近いうちに「えぼし」にも訪れてみよう・・・と思っている。
明日からの香港の前に行けた店としては、抜群の出会いだった。
|