「すいません・・、席かわります」
「あの・・何か?」
「ごめんねぇ、アタシが煙草吸いだから、煙が流れない方に座るのよ・・・彼」
「じゃ、テーブルはこちらのままでよろしいですか?」
「もちろん」
閉めきった、決して広くない店での事。
私が食事をしている時に入ってきた5人組が席についてから少しして、そんな会話を店の人としていた。
私が食事を取ろう・・と入った時には客は一人も居ず、そのため店の一番奥に陣取ったのだが、
空気は厨房の換気扇のせいか私の方(店の奥に向かって)に流れてくる。
女性一人と男性4人のグループは年齢的には私の年代から+10才位までの幅を持っていた。
彼等は、「とりあえずビール!」だけオーダーして飲みだした・・・
と同時に3人が煙草を吸い出し、居酒屋のノリで大声で喋りだした。
その三人より私寄りに座った人が、煙草の煙にむせて席替えを申告したわけだ。
こりゃ、質の悪い連中が来たな・・・
遅い夕飯をまともなところで食べたかったらこの店に来たのに、
何だかがっかりだな・・・
とは思ったが、それはしょうがない。
そんな贅沢を言うなら、ちゃんとした高級店でできれば個室でどうぞ・・という事だから、
聞き流す事にした。
しかし、当然その煙はまとまって私の席に向かってくる。
こっちも吸わないわけじゃないから、普通の量だったら我慢できるのだが、その量は半端じゃなかった。
ちょうどサラダを食べていた時だが、皿が一瞬霞むほどの煙。
顔と皿の間にそれだけの煙が流れると、煙草吸いだって気分良くは居られないだろう・・・。
ここは飲み屋じゃねぇ・・と叫びたくなるが、
3人のうち2人までは一服の後ツマミとワインに切り替え、煙草を吸うのをやめにしたようだ。
(ムッとした私の顔が見えたのかも知れない)
しかし、私の並びに座った女性の吸い方は凄かった。
煙草に火をつけて持ったまま、3回ふかしてビールをちびり・・・といったペースで、
たちどころに3本が消えていく。
楽しそうに(五月蠅くてたまらないが)話している連中に水を差したくないが、
あまりの煙に目の前に流れる煙を手で払った。
これは、かなりの抗議のポーズに見えるはず。
その女性は、「何よ、うるさいわね」といった目つきでコッチをちらっと見たが、
煙草をやめる気は無いようだ。
これで次にまたブカブカと煙を吐く場合、私の行動パターンには3つのチョイスがある。
1.「たばこの煙が凄いので、この席では食事ができません・・・」と露骨に聞こえるように、
店の人に席を替えるように頼む。
2.「そんなに煙草吸って騒ぎたいなら、居酒屋でも行ってくれ」と直に抗議する。
3.直ちに食事をやめ、勘定だけ置いてすぐ店を出る。
何回も行く店の場合、3は有り得ない。
何故なら、こんな席に座らせる配慮の無さに対する抗議も含めてする行為であり、
2度と行かない可能性もある場合に使うからだ。
怒り度によって 1 2 の順に行うが、それとて本当はしたく無いこと。
だから、大概はとっとと食って店を後にする事が多いのだ。
シガーを吸う人間だからと言って、食事場所での喫煙を容認できるわけじゃない。
と言うか、シガーはより癖が強いものだから、気は相当に使うものなのだ。
他に客が居ない時か店から許可を得ている以外、レストランでシガリロに火を点ける事は無い。
無意識に煙草に火をつける癖のある人達よ。
飯も食えなくなる程、嫌がる人間もいるって事を認識しろ。
食事中に煙幕を張られるほどの煙を浴びれば、自分だって腹が立つとは思わないか?
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