「セプテンバーイレブンってカクテルできます?」
となりの女性客がそうバーテンに言う。
へ?聞いたこと無い名前だな・・・・
どんな物だろう・・・
さっきまで連れと「利用されやすい女の定義」を語り合っていた彼女は、
ちょっと男好きがしそうな感じの素敵な女性ではあった。
どうでも良い軽くて罪のない話題は横で聞いていても面白く、
バーでの肴の一つとして美味しい部類だと思っている。
しかし、軽めの彼女等から、聞いた事も無いカクテル名を聞かされると、
俄然、興味は酒の方向にシフトした。
だが待てよ・・・・
セプテンバーイレブンって、9月11日だ・・・
今日?
そう、それは去年の今日起きた事件から付いた名前のようだ。
(マンハッタンの亜種のようだが>カクテル)
ワールドトレーディングセンターが消滅した日。
その日を名前に冠した物は数多く存在するようだ。
確かに朝から、ワールドトレーディングセンター痕の映像は多く流され、
「グラウンド・ゼロ」という言葉も多く流された。
しかし「グラウンド・ゼロ」とは
核で何もかもが焼け野原になってしまった・・・
という意味を持つ事を、どれだけの日本人が知っているのだろうか?
これは、単なる爆心地という意味合いで「グラウンド・ゼロ」という言葉を使ったのではない・・・
と邪推したくなる感情を抑える事は私にとって難しく、
また、アメリカの傲慢さを少なからず感じさせられるのは事実でもある。
イギリスに行った時、ちょうど第二次世界大戦の特集を組んだ番組が放映されていたが、
原爆を落としたおかげで戦争が終わってよかったね・・・という締めくくりになっていた。
それが、連合軍側の情報操作手法であるのは解っていても、
放射能のもたらす様々な問題を軽視し、原爆容認メッセージを流すのはどうなのだろう。
実は、イギリスでは、マンハッタン計画(原爆製作計画)に参加した博士の中の
最後の生き残りである、ロートブラッド博士へのインタビューを撮ってきた。
彼は
「核兵器は、理論的にも、政治的にも、軍事的にも、法的にも、特に倫理的にも受け容れられないものだ」
と語った。
そして
「人類に対する忠誠心を育むための世界市民を創る教育が大事」
とも。
いかなる理由があるにしろ、悪魔の兵器を作り上げてしまった事を悔いて、
彼は90才を遙かに越えた今でも、核廃絶を唱え続けている。
そしてその生の声と映像を記録できた事は、
これを誰かに伝える・・・という役を負ったようにも感じている。
8月の日本紹介ホームページに、私が撮った原爆ドームの写真が使われ、
仲間がニューメキシコからグラウンド・ゼロのパッチをお土産に持って帰り、
そして自分もまた、マンハッタン計画の生き残りに出会ってしまう・・・・。
これは、きっと偶然では、ないのだろうね。
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