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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

カスクストレングス・シンドローム

ダフタウン

横浜市中区石川町2−62 嘉山ビルディング2F
045−663−7936
18:00〜27:00(日・祝は25:00 年中無休)

石川町駅南口を出て、元町方向への川沿いの道を歩いてすぐ右側。


この店に初めて行ったのは何時だったか忘れてしまったが、
カスクストレングスのモルトを飲むキッカケとなった、忘れられない店である。

クラシックモルトシリーズとマッカラン辺りをメインに飲んでいた私に、
こんな本があるよ・・・と渡されたのは土谷守氏の「モルトウィスキー大全」だった。

そこに載っていたモルトは名前も知らぬ物ばかりで、現物が置いてある店なんて殆ど知らないわけで、
呆れるばかりの数に驚きながらも、テイスティングノートから味を想像して「いつかは飲む」と
心に言い聞かせながら頭の中にたたき込む日々を過ごすようになる・・・

そんな頃、その本をくれた友人が教えてくれたのがこの店で、
「モルト大全」にも載ってないようなボトルにただただ圧倒された事を、今でも思い出すのだ。


「どんな物がお好きですか?」

「マッカランとかダルウィニーとか・・・」

「スペイサイドかハイランドでよろしいですか?」

「・・ええ・・」(そう言われたって、どんな味か解らないんだよね・・・)

「軽いのと、重いのでは?」

「重いヤツが・・・」


では・・・と出してくれたのは、ロングモーンのカスクストレングス(ケイデンヘッズ)だった。

蓋付きのテイスティンググラスに注がれたソレは、少しトロッとした感じの色濃い液体。

ロングモーンも初めてなら、カスクストレングスを飲むのも初めての事。
そして、当たり前にストレートで飲ませよう・・とするマスターのやり方にもちょっとだけ疑問を持った。

しかし・・・
飲んでみて、勝手に膨らんでいた想像は見事に吹っ飛んだ。

スムーズで飲みやすく、どっしりとした飲み応えがある。
香りは豊で、いつまで残っている。
そして何より美味しい・・・・。

強いから必然的に時間をかける事になり、
香りの変化もニートで飲む意味を理解できた。

以来、その店にあるカスクを片っ端から飲んだのは言うまでもない。


カスクストレングスと言っても、そのアルコール濃度はまちまちだ。
46%位の物もあれば、62%を簡単に越えている物もある。
しかし、アルコール濃度に関わらずその味の深さと香りの長さは、40%物とは比べようも無い物だ。

原酒の中の原酒と言えば良いかもしれないが、はっきり言って「別物」なのだ。

勿論、アルコールもエキスも濃いので、相当に酔う。

3〜5杯飲んだら、私にとっては充分で、それ以上は記憶を残す自信が無い。
だから、一晩に飲める酒の数は限られ、
飲めなかった別のモルトは、次の楽しみとしてリストアップされてしまうのだ。


今日は、「RobRoy」でTAKAとモルトを飲む約束をしていた。
ロンドンのミルロイで買ったバルベニー25年を楽しむのだ(^_^;)


バルベニー25年(シングルバレル)は、46.9%のアルコール度数で、
15年の50.4%に比べると優しいように見えるが、
飲んでみるとそれは勘違いだった・・と理解する事ができる。

15年のシングルウッドをさらに10年熟成させると、
アルコールを天使に持って行かれ枯れてしまっても酒の持つ強さやふくよかさが増して、
素晴らしい香りと味を優しさにくるんだようになるらしい。

40半ばにして20代の美貌を上手く保ちつつ大人の顔となった女性のように、
芯の強さと優しさを感じる美味い酒だが、
それに対抗しそうな誘惑をカウンターのボトルから受けた。


バルベニー21年ポートウッド (40%)

21年ポートウッドと17年アイラカスクは、ヒースローの免税店にもミルロイにもゴロゴロ転がっていた。

よっぽど買ってこようかと思っていたが、これぐらいあるのならきっと日本にも有る・・と思い込み、
買わずに帰ってきたのだから、想像以上に早く飲むチャンスが訪れて嬉しかった。


あれぇ・・・薄い・・・・

テイスティンググラスをブンブン振り回しながら、起きろ〜と声をかける。

そして時間をじっくりかけてエアリングしてみたのだが・・・・


結論:スタンダードなモルトはカスクに慣れてしまうと、薄く弱く感じるようになる・・・
   だからついついカスクストレングスばかり飲むようになる・・・


この病気、完治させる薬(スタンダードな加水モルト(40%or43%)でカスクに負けない物)は、
相当高価な上に非常に数が少ない事だけは確かのようだ。

 
 
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