「今年は旬がオカシイ・・」と板長がぼやく。
入るべき時期に旬の魚が入らず、どうしてもソレを出そうとすると仕入れが高くなるから、
季節物の料理を作るのに苦労をしているらしい。
それは、海流の変化か気候の温暖化かはわからないが、
潮の流れがオカシイために、旬の魚がやって来れない・・と釣師でもある板長は分析する。
そして中国の食品が諸々の問題で敬遠された結果、
安値で大量に入るハズだった食品に対抗して値を上げなかった国産品が暴騰しているのだとか・・。
今日は「白河豚」を食べよう・・と山田屋に来たのだが、
河豚もそんな関係から値が下がらなくて買えなかったらしい・・・。
(8月末には仕入れるはず・・と聞いていた)
山田屋 ザ ホテル ヨコハマ 店
横浜市中区山下町6-1
045-662-1321
先日、シゲに車海老とサイマキの違いを教えてもらっているうちに、
無性に寿司が食いたくなって、急遽食べに行く事になった。
鱧の南蛮漬け(お通し)
カワハギ
鯛
松茸
蛸の吸盤の唐揚げ(料理)
鰺
新子
スズキのカマ焼き(料理)
水蛸
秋茄子の漬け物
といつもの通りお任せで握ってもらう。
この時期あったら食べたいのは「秋刀魚」で、イギリス行きの前に寄った時は運良く食べられた。
しかし今日は値段が高くて仕入れなかった・・・とか(;_;)
「白河豚」も「秋刀魚」も今日の目当てだったのだが、無い物は仕方ない。
高価過ぎたり、値段のワリに味が良くないものはケースに並べないのが板長のやり方。
一人5000円程度に調整して十分に食べさせ十二分に満足させるスタイルを固持しているから、
それも「運」と思って諦めた。
しかし、夏っぽいネタが今一歩足りないように感じる。
「板長、『鰻』は無いの?」
「鰻って言ったね?」
「言ったよ」
「握れってか?」
「握って」
「今朝、裂いたやつが裂きっぱであるから、それを焼こうか?
こいつが結構脂のってて太ってたから、美味いよ(^_^)」
「いいね〜」
「じゃ、時間くれる?」
「あげる!」
山田屋は、夏は鰻料理を数種類揃えている。
最近は「ひつまぶし」を出したりするようで、この時期「良い鰻」が有る事は解っているのだ。
だから、トドメに食べる「穴子」の代わりに「鰻」を握ってもらう事は、夏のスタンダードとなっている。
(今日は蒸していない鰻を焼いてくれるから、関西風の焼き上がりが期待できる)
あまり高くなく、美味しい・・という基本条件に合うから、何度か足を運ぶようになった「山田屋」。
広いジャンルでの食べる事が好きな板長の話の面白さにも魅力を感じている。
今日は、シゲとの話であった車海老の事を尋ねてみたら、
メキシコ海老と車海老の違いを現物を見せながら説明してくれた。
回転寿司の上手な使い方や、知らない寿司屋でのオーダーの仕方など、
板長の話は止まるところを知らない。
でも、こんな会話のつまみが、酒を美味しくしてくれるんだなぁ・・・・
距離が近すぎていけないし、遠すぎては意味がないカウンター。
それは寿司屋に限らず、カウンターでの飲食を売りにする物は全て同じだと思っている。
その距離感を楽しめる時は、何故かとても美味しいと感じられるものらしい。
囲いで覆われたようなラーメン屋が桜木町にでき、行列ができる程の人気を得ているが、
他の客とも店の人とも顔を合わせないで食べる事が楽しいのだろうか・・と疑問に感じている。
どういう作り方をしているか、店にいる客は主に何をオーダーしているか、
その客層はどんなか、ドレぐらい混んでいるのか・・・・。
それらは全て調味料のようなモノ・・だと、私は思っているのだ。
誰かに食べる所を見られるのが恥ずかしい・・・
店の人とも殆ど口をきかない・・・
それなら、家で食べた方がいいんじゃないのか???
(ま、個人の勝手ですが)
「あっちっち」
と板長が喚く。
そりゃそうだ、焼きたての「鰻」なんだから。
握って・・なんて贅沢を言ってしまったが、
「押して・・・」(押し寿司にして・・・の意)ってのもねぇ・・・。
関西風に焼かれた「鰻」は歯ごたえ良く脂ものって、酢飯に負けない力強さを持っていた。
「美味いな〜」と言葉がこぼれる。
その言葉を聞いて板長がニヤッと笑う。
その笑顔がまた美味しさを増してくれる・・・
その後、よせばいいのに雲丹(「ニンニク醤油漬け」のせ)を食べて、
締めてお一人様5,944円(税込:酒代込)
体重計に乗るのが恐い日は、当分続くのだろう・・な(^_^;)
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